航空宇宙工学分野の就職について質問です。

航空宇宙と言っても、「航空機系」と「宇宙（ロケット）系」に分かれます。 また、恐らく推進系志望ではないと思いますが、もし推進系なら、航空機用エンジン（ターボファンエンジン等）とロケット用エンジンでは全く異なります。 東大大学院（修士）はキャリアアップのためには、すごく良い選択だと思います。（注１） 研究者指向なら、宇宙系は何と言ってもJAXAだと思います。なお、JAXAでは航空機系は傍流なのでおススメできません。（注２） これに対して、宇宙は開発要素には事欠きませんが、国の財政が厳しいため、H-Ⅱ後継、はやぶさ後継、月探査にしても、少ない予算をやりくりしながらの開発になると思います。 研究職なら、大学教員を目指すのも手ですが、航空宇宙学科が有る大学は、東大、京大、名大、九大、大阪府大、日大、東海大と少ないので、ポストは限られていると思われます。（注３） それから、防衛省の技術研究本部では軍用機等の研究が行なわれていますので、選択肢の一つかも知れません。 －－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ メーカーでは、研究、設計（含む開発）、生産技術、工作/製造関係などの職種があり、必ずしも研究が出来るとは限りません。また、研究職は要素技術の研究（空力、材料など）が主で、設計技術者の多くは、研究試作と設計の掛け持ちだと思います。 日本のメーカーでは開発機会は少ないですが、新機種の開発に携わることができれば、研究より面白いかも知れません。主なメーカーは以下のとおりです。 航空機：三菱重工（開発モノとしてはMRJ、F-2戦闘機など）、川崎重工（開発モノとしては、P-1対潜哨戒機、C-2輸送機、OH-1観測ヘリなど） （＋富士重工） 航空機用エンジン：ＩＨＩ（防衛省向け航空機用エンジン、旅客機用エンジン（国際共同開発など））、（＋三菱重工、川崎重工も） ロケット（含む推進系）：三菱重工（H-ⅡAロケットなど）、IHIエアロスペース（イプシロンロケット（M-5ロケット後継）） ミサイル：三菱重工、三菱電機、（＋東芝） その他：ホンダ（米国で小型ビジネスジェット事業） －－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ 海外では、NASA、ボーイングが可能性としては有るのかも知れませんが、NASAは前例があるのかどうか･･･。ボーイングは主力工場があるシアトルの地元の大学（ワシントン大学）からエンジニアを結構採用しているようですが、仮にワシントン大学に留学しても、「日本人」の「研究職」となると相当ハードルが高いように思います。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ （注１）大学の物理系の場合、センスの有る無しで、学生の成績はものすごく開きが出ます。出来る人は、物理系の専門科目漬けの日々を楽しみながらグングン伸びますが、出来ない人は講義にも付いていけなくなります。 大阪大学のトップクラスなら東大でも十分通用すると思います。仮に大学のカリキュラムに多少アンマッチがあっても、独学でカバーできるのではないでしょうか。「東大卒（含む修士）」は研究職のみならず、様々な場面で有形無形のメリットがあります。 （注２）余談ですが、航空機（民間機）は開発要素が少ないので、JAXA内でも予算が付きにくいのだと思います。チャレンジングなのはSST（超音速旅客機）ですが、ソニックブームの根本解決は遠いと思われ、SSTの実用化が有るとしても随分先になると思います。 なお、JAXAは航空機用エンジンはほとんどノータッチだと思いますが、航空機用エンジンは、燃費改善や騒音低減など研究開発の余地は大きいと思います。 （注３）ただ、航空宇宙の研究は実証が不可欠であり、予算が乏しい大学の研究室で、先端的な研究を行なうのは難しい気がします。他の学科と違って、優秀な学生は大学に残るよりも、JAXAやメーカーに流れる傾向があるかも知れません。逆に、大学に残りたい人にはハードルは低いかも知れません。（あくまでも想像に過ぎませんが･･･。）