クリエイティブ系の職種で、 たとえば女性誌の「CanCam」(小学館)を作っていたデザイナーが 「JJ」(光文社)のデザイナー職へ転職しようとする場合、 競合同士、企画の組み方から決定時期、 デザイン上の規定など、お互いに「恐らくそうだろう」と予想はできていても 詳細は知られたくはない という情報がありますよね。 【職業選択の自由】という大前提は置いておいて、 さらにCanCam側の就業規則や労働契約に 「同業他社への転職は禁止」等の縛りがないとして、 同業・競合他社へ、同職種で転職するのは、 クリエイティブ職の業界的にタブーなのでしょうか。 また、クリエイターとしての実績をポートフォリオで 提出したりすると思いますが、 光文社へ、小学館で作った(世に出版された)原稿を 提出するのは、アリなのでしょうか。
競合他社への転職をしばる契約は、一般に「競業避止義務契約」と呼ばれています。入社時の誓約書でサインを求められる場合や、就業規則に書いてある場合、在職中にサインを求められる場合、退職時にサインを求められる場合……と、様々なケースがあります。 こうした契約は、従業員の「職業選択の自由」を侵害し得ることから、制限的にのみ、その有効性が認められています。どういうことかというと、「やりすぎ」な契約の場合、サインをしてしまっても事後的に「あの契約は無効だ(従って効力は無い)」と言える、ということです。 ファッション業界の場合、例えば「ブランド独自の技術を習得したパタンナーが競合するライバル企業に転職し、ライバル企業でその独自技術を使われてしまう……なんて困る!」というケースはあるでしょう。 この場合、【目的】自社のパターン技術を守りたいという目的で 【地位・職種】パタンナーという専門性の高い職種の従業員に限定して 【地域】全国のライバルブランドで 【期間】1年間 【範囲】パタンナーとして働く事を禁止する 【代償】代わりに奨励金などを支払う という競業避止義務を設ける といった契約であれば、おそらく「有効」と言えるでしょう。 しかし、 【期間】2年超と長期の存続期間が設けられている 【範囲】パタンナー以外の職種に就くことまで禁止されている 【代償】報奨金もないし、賃金も他業種と同じであるなど、「代償措置」と言えるものがない といった要素があれば、有効性に疑いが出てきます。 ただ、上記の通り、「競業避止義務契約の有効性」というのは、なかなかクリアな判断が難しい問題です。一度サインをしてしまった後、転職の際に、転職先企業の人事担当者に「前職で競業避止義務を負っていますか?」と聞かれ、「サインしてしまいました、しかしあの契約は無効だと思います」と答えたとして、「ならば問題ない」と判断して貰えるでしょうか。 在職中や退職時にサインを求められた場合は、可能な限り、専門家に相談するなどしながら 【地域】 4.【期間】 5.【範囲】 について、地域的制限や禁止される期間、範囲を限定的にして貰う 【代償】について、十分な代償措置を求める といった交渉を行い、納得した上でサインをした方が良いでしょう。
「わだかまりのない転職」たしかに、仰るとおりですね。 働くことの本質を忘れかけていました。ありがとうございました。
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