産業分類でBtoB産業とBtoC産業という分け方があります。BtoBはBusiness-to-businessの略で企業相手に商売する産業です。たとえば鉄鋼産業などはBtoBが中心です。一般の人は「ちょっと鉄のH形鋼を買いたいな~」とか思いませんからね(笑)。一方で、BtoCはBusiness to Consumerの略で一般の消費者向けの産業です。 マーケティングはBtoC産業の大企業ならたいてい関連部署を持っています。有名なのはコカ・コーラやP&Gですね。統計データを集めて、分析して、そのうえでどのような戦略が有効かを考えていくのです。 残念ながら、日本は総合職採用という「部署の指定がない」採用形式が一般的なので、入社してすぐマーケティングができる部署になることは少ないです。たいていは営業職からスタートしますね。もちろん、営業もお客様のことを分析したり、いかに売っていくかを考えることが必要なのでマーケティングの知識があった方がいいのですが、それは根性やコミュ力に勝るものではありません。 そもそもマーケティングは営業しなくても勝手に消費者が集まってくる仕組みをつくることが目的なので、営業とは対極の仕事です。経営学者であるピーター・ドラッカーは、「究極のマーケティングは、セリング(販売)を不要にするもの」だという名言を残しています。 さて、就職についてですが、マーケティングは非常に人気のある職業領域で優秀なライバルが掃いて捨てるほどいます。文系がある国内有名大学のほとんどが経営・商学部を持っておりマーケティングを教えています。おそらく質問者様が知っている全ての大手企業の総合職は難関大学の人たちばかりが採用されます。 かといって、中小企業ではそもそもマーケティングを担当する部署がないことがほとんどです。そういったことは経営層が担っているからです。また、本当にマーケティング分析をやろうとしたら統計学の知識が必要なので、フレームワーク(考え方)や過去の事例を知っているだけではできません。かといって、そんな高度なことができる人材は社内にいないのでコンサルティング会社などに委託することで済ませるのです。 したがって、短期大学卒でマーケティングをしっかりとできる職に就くことは茨の道です。むしろ就職して当該部署を目指すよりも、いつか独立できそうなBtoC産業の会社に就職して、経験を積んだら独立し自分が経営者になるという計画のほうが遥かに現実的でしょう。
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