転職エージェントの基礎知識
まずは、転職エージェントの概要や転職サイトとの違いをご紹介します。
転職エージェントとは?
転職エージェントとは、転職を希望する人に最適な求人を紹介する人材紹介会社の総称です。転職エージェントに登録すると、自身の担当となるエージェントがつき、以下のようにさまざまなサポートをしてくれます。
- キャリアプランの相談
- 求人紹介
- 履歴書や職務経歴書の作成に関するアドバイス
- 面接のアドバイス
- 面接日の調整
- 採用企業との年収交渉
- 入社スケジュールの調整 など
初めての転職活動の場合、履歴書・職務経歴書の作成方法や面接への臨み方が分からなければ、採用される可能性は下がってしまいます。多忙な毎日の中で、効率的かつ確実に転職したいと考えるのであれば、自分に合った転職エージェントを利用することがおすすめです。
転職サイトとの違い
転職サイトでは、以下のような希望条件で絞り込んで求人検索できます。
- 勤務地
- 年収
- 業種
- 勤務形態
- 福利厚生 など
転職エージェントと転職サイトの特徴を、以下の表にまとめました。両者を比べてみると、転職エージェントの場合、担当エージェントが行う面接アドバイスや企業との調整、情報収集などのサポートが強みであることが分かります。一方、転職サイトは、サポート力や転職成功率はやや劣るものの、気軽に求人を見たい人に向いているサービスだと言えます。
転職エージェントの種類
転職エージェントには、総合型と業界特化型の2種類があります。総合型転職エージェントとは、1つの職種や業界にこだわらず、さまざまな求人を取り扱うサービスです。多種多様な求人が集まることから、紹介可能な求人数も非常に多くなっています。そのため、これまでとは違う仕事に挑戦してみたい人や、将来の方向性が見えていない人などに利用されることが多い傾向です。
一方、業界特化型転職エージェントとは、その名の通り、特定の業界に絞って求人を紹介するサービスです。担当エージェントは、以前にその業界で働いていた人や、特定の職種や採用方法に精通している人であることが少なくありません。したがって、業界特化型転職エージェントは、一定業界での経験や実績を基に同業界への転職をしたい人におすすめです。
転職エージェントの利用料金
転職エージェントは、基本的に無料で利用できます。これは、転職エージェントを通して転職が成立する度に、企業側から紹介料として求職者年収の30%前後の謝礼を受け取る仕組みになっているからです。転職エージェントは企業から紹介料を得ることで、利用者に無料でさまざまなサポートを提供できる仕組みとなっています。
転職エージェントを使うメリット
転職エージェントは、以下の3つのメリットがあることから、多くの人に利用されています。
- 転職活動を効率的に進められる
- 書類の添削や面接対応などサポートが充実している
- 非公開求人に応募できる
転職活動を効率的に進められる
転職エージェントを利用する最大のメリットは、担当エージェントが希望条件に合った求人を探してくれることです。そのため、仕事が忙しくなかなか求人を探す時間が取れないという方は、転職サイトよりも転職エージェントを利用したほうが、効率的に転職活動を進められるでしょう。また、転職エージェントはキャリアカウンセリングを通して、求職者の特性や強みに合った提案もしてくれることから、転職後のミスマッチが起こりにくくなります。
書類の添削や面接対応などサポートが充実している
サポート力の高さも、転職エージェントの大きな魅力です。先述の通り、転職エージェントは職務経歴書や履歴書の添削指導、面接対策といったサポートが非常に充実しています。作成した自己PRや志望動機に対して客観的なアドバイスをもらうことができ、書類選考を通過できる内容にブラッシュアップできることは、転職エージェントの大きなメリットといえます。そのため、初めての転職活動で応募書類の書き方が分からない、文章力に自信がないという方にも、転職エージェントは非常におすすめです。
非公開求人に応募できる
通常の転職サイトにはない非公開求人を紹介してもらえるところも、転職エージェントのメリットです。非公開求人は、給与やポジションなどの条件が良い求人が多い傾向にあります。年収アップや大きなキャリアアップを目的に求人を探す方には、特に転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを使うデメリット
転職エージェントにも、場合によってはデメリットと感じられるポイントがあります。
- 担当エージェントに当たり外れがある
- 案件を紹介してもらえないこともある
- 担当エージェントとのやり取りに時間が取られる
担当エージェントに当たり外れがある
転職エージェントでは、相性が合わない担当エージェントに当たることもあります。相性があまり良くないエージェントに当たってしまった場合、キャリアカウンセリングによる自己分析や自己PRなどへの添削も思うように進まなくなることもあるため、注意が必要です。サービス利用中に担当エージェントが合わない、力不足と少しでも感じた場合は、遠慮せずに担当変更の依頼をしましょう。
案件を紹介してもらえないこともある
転職エージェントに登録したからといって、すぐに豊富な案件を紹介してもらえるとは限りません。案件紹介までのスピードは、転職エージェントが取り扱う求人のジャンルや内容のほかに、求職者本人の真剣度によっても変わってきます。なるべく早く良い求人を紹介してもらいたい場合には、すぐに転職する意思があることや、今回の活動に対する真剣度を担当エージェントに伝えてみましょう。優先的に案件を紹介してもらえる可能性が高くなるでしょう。
担当エージェントとのやり取りに時間が取られる
担当エージェントと二人三脚で活動するこのサービスの特性上、転職先が決まるまでの間に、ある程度コミュニケーションを取る手間が生じるのは、仕方がないことです。転職を成功させたいのであれば、担当エージェントとの密なコミュニケーションは必要なものだと考えましょう。自分が就きたい業界や職種のヒアリング、適性を見極めるキャリアカウンセリングなどを面倒がらず、積極的に受ける姿勢が必要です。
転職エージェントの使い方の流れ
転職エージェントを利用する際の流れをご紹介します。
サイトに登録する
転職エージェントを利用するには、まず申し込みができる転職支援サイトで会員登録を行います。サイトへの登録は無料となるため、最初は複数の転職エージェントに登録し、サービスの質を比較すると良いでしょう。登録時には、自身の経歴や希望職種などを入力します。入力した内容は、担当エージェントによる求人紹介やキャリアカウンセリングなどに使われるため、職種や仕事内容、プロジェクトの種類などを、なるべく具体的に書くのが理想です。
担当エージェントから連絡がくる
サイト登録から数日で、担当エージェントから電話もしくはメールで連絡があります。その際、キャリアカウンセリングの日程調整を行いますが、柔軟にスケジュールを調整してもらえるので在職中の方でも安心してください。また、遠方に在住の場合や、仕事などが忙しく転職エージェントのオフィスに訪問できない場合は、電話でキャリアカウンセリングを受けられることもあります。
面談(カウンセリング)を受ける
担当エージェントと現在の仕事の状況や転職希望先の条件、具体的な転職スケジュールなどに関するキャリアカウンセリングを受けます。その際は、希望条件をなるべく詳細に伝えることが大切です。すでに転職する意思が固まっている場合は、真剣に新しい仕事を探したいという意思を伝えることで、スピード感を持って求人紹介をしてもらえるでしょう。転職するか悩んでいる・就きたい業界が見つからないなどの悩みがある場合は、あやふやにせず、担当エージェントに相談をしてみてください。
求人の紹介を受ける
キャリアカウンセリングの結果から、求職者に合った求人を紹介してもらえます。紹介を受けられるタイミングや方法は、場合によって以下のように少し異なります。
- 面談の場ですぐに求人紹介を受けられる
- 後日メールで求人紹介を受けられる など
転職エージェントの強みは、求人票には記載されていない社風などの企業情報も把握していることです。そのため、求人に関する疑問はすべて質問しておくと良いでしょう。
応募書類の作成
求人への応募が決まったら、職務経歴書や履歴書を用意します。転職エージェントでは、書類選考の通過率を上げるために、以下のようなサポートを受けられます。
- 応募書類の作成アドバイス
- 応募書類の添削
- ひな型書類の提供 など
自己PRの方法や書き方のコツだけでなく、応募企業の目に留まりやすいアピールポイントや、求職者本人の特性に合った具体的なアドバイスを受けられます。
面接対策を受ける
自身の経歴や強み、希望職種に合わせて、具体的な面接のアドバイスが受けられます。例えば以下のような情報やアドバイスが受けられます。
- 面接で想定される質問内容とは?
- 応募予定の企業が求める人材のタイプとは?
- いま持っているスキルの中でPRすべきものはどれなのか? など
また、希望者に対しては模擬面接を行い、想定される質問に対してどのように答えるべきかといった、より具体的なアドバイスも受けられることがあります。模擬面接をしておけば、面接会場の雰囲気を疑似体験することができるため、本番も緊張せずに力を発揮しやすくなります。
採用・不採用の連絡
書類や面接の選考結果は、担当エージェント経由で届きます。転職エージェントを利用した場合、企業の応募者に対する所感も担当エージェントから伝えられるのが一般的です。そのため、もし不採用となった場合も、次の選考に活かすことができます。また、その内容から弱点などが分かれば、より自身に合った求人を見つけやすくなるでしょう。
内定後のサポート
転職エージェントによるサポートは、内定が決まった後も続きます。例えば、求職者本人からは伝えづらい給料の交渉や入社日の調整なども、担当エージェントから伝えてもらうことができます。転職エージェントによっては、入社後のトラブルを一定期間対応してくれるところもあります。在職中に転職活動をしていた方は、引き継ぎのコツや円満退職のポイントなども相談してみると良いでしょう。
転職エージェントの活用ポイント
転職エージェントを上手に活用するには、以下3つのポイントを意識するのがおすすめです。
- 複数のエージェントに登録する
- 転職先の条件を明確に伝える
- 転職の意欲(真剣度)を示す
複数のエージェントに登録する
詳しいサービス内容や担当エージェントの対応範囲は、利用する転職エージェントによって異なります。そのため、転職エージェントを利用してより良い転職活動をするには、複数のサービスに登録をして比較検討するのがおすすめです。1社ではなかなか判断できない担当エージェントの質や相性の良し悪しの判断も容易に行えます。自分が希望する業界にどれだけの求人があるかなども、把握しやすくなるでしょう。最終的には、「ここが良い!」と思った、転職エージェント1~2社に絞り込むのが理想です。
転職先の条件を明確に伝える
自分が希望する条件を明確に伝えることも大切です。例えば、遠慮気味の希望条件を伝えてしまうと、担当エージェントもそのレベルに合った求人しか紹介できなくなってしまいます。また、希望する仕事内容が曖昧だった場合も、求職者が想像する求人とは異なるものが紹介される可能性があります。担当エージェントはプロですので、遠慮する必要はありません。希望条件をはっきり伝えるようにしましょう。
転職の意欲(真剣度)を示す
担当エージェントにも、売上金額などの追うべき数値目標があります。そのため、カウンセリングで真剣度が低いと分かった場合、営業成績につながりにくい求職者だと判断され、求人を紹介されなくなることも考えられます。転職エージェントを利用して、早急に好条件で転職をするには「すぐにでも転職がしたい!」という強い意思を伝えるのが最も効果的です。担当エージェントと密なコミュニケーションをとると、真剣度はさらに伝わりやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、これから転職活動を始める方向けに、転職エージェントの特徴やメリット・デメリット、使い方の流れなどをご紹介しました。転職エージェントで担当エージェントのサポートを受ければ、自分に合った求人に採用される確率も高まります。これから転職活動を始める方は、ぜひ転職エージェントの利用を検討してみてください。
テキスト:大田 明日美
2020年9月24日時点