貴重な場をお借りいたします。 当方は先日、3年ほど勤めたエンターテイメント系の制作会社を退職いたしました。 退職理由は上司・会社の方針との不一致です。 (ストレスにより慢性的な体調不良・精神失調となりました) 退職時に離職の契約をしたのですが、その中の項目に 引き抜きなどの防止として 「今後3年間の同業他社への転職禁止」が盛り込まれていました。 別項目の「就業中に得た社内情報などの流失禁止」は当然だと思ったのですが、 どうしてもこの転職縛りに納得がいかず、捺印前に相談したものの 転職縛りの項目の変更は認められず 認められねば、退職を受理してもらえない状況になってしまいました。 仕方がないので、署名と捺印をしましたが ■やはり署名・捺印をした以上、この契約に縛られ、今後3年間は同業種に転職は出来ないのでしょうか? (また、退職後ながら 就業時の「月労働時間400時間オーバー・月80時間サービス残業」を盾にする事はできるのでしょうか?) 周りからは 「就職・転職の自由は法で守られているので、その契約は脅しにはなるが、法的な効力はない」 「契約した以上、どうしようもない」という二通りの意見を頂戴しました。 お手数おかけしますが、皆さまのご意見をお聞かせ願えますと幸いです。 この業界に入り、人様に少しでも「楽しい」と感じてもらえる作品を創るのが夢だった事、 その為に数年を賭し、周りの方々にたくさん助けていただいた事、 なにより自分自身が業界に絶望はしておらず、療養した後、再び同職に就きたいと考えている分 流されて捺印をしてしまった自分を悔いています。 長文失礼いたしました。 何卒宜しくお願いいたします。
過去の判例が参考になります。 労働政策研究・研修機構HPより http://www.jil.go.jp/hanrei/conts/075.htm 要は、退職後競合会社に転職することを禁じる契約は、公序良俗に反しない限り有効、 どんな場合に公序良俗に反するかというと、労働者の在職中の地位、競業制限の期間・地域等の範囲、元の使用者による代償の提供の程度を総合的に勘案して、合理性がない場合となります。 以下が引用です。 (1)競業避止義務の有効性 1)競業避止特約の拘束力 在職中の同業他社での就業は、労働契約により制約される(アイメックス事件 東京地判平17.9.27 労判909-56)。在職中の競業会社設立も、労働契約上の競業避止義務に反する(協立物産事件 東京地判平11.5.28判時1727-108) 退職後は特約により競業行為が制限される(新大阪貿易事件 大阪地判平3.10.15労判 596-21など)。ただし、特約における禁止の内容や程度が必要最小限でなく、代償措置も十分でない場合は公序良俗に反し無効となる(東京リーガルマインド事件 東京地決平7.10.6 労判690-75など)。強要された特約も無効である(退職金関係書類の交付条件として退職後5年間の競業避止特約の作成提出が強要された、消防試験協会・消化設備試験センター事件 東京地判平15.10.17 労判864-93)。しかし、極めて悪質な競業行為(在職中に得た知識を利用し会社が取引中の者に働きかける)には、特約なしに競業避止義務違反が認められる(チェスコム秘書センター事件 東京地判平5.1.28 労判651-161)。 2)労働者の従前の地位・職務 使用者の営業秘密を取扱うことができる者は、在職中の特約により、退職後も競業避止義務を負う(モデル裁判例)。取締役で仕事上強いコネを有している場合、特約の拘束力が認められ(フレンチ・エフ・アンド・ビー・ジャパン事件 東京地決平5.10.4 金商929-11)、全国展開家電量販店の地区部長・店長でも競業避止義務を負う(ヤマダ電機(就業避止条項違反)事件 東京地判平19.4.24 労判942-39)。しかし、一般従業員については、業務内容やノウハウの観点から、競業避止義務を負わせることはできない(小売店販売員につき、原田商店事件 広島高判昭 32.8.28 高民集10-6-366、工員につき、キヨウシステム事件 大阪地判平 12.6.19 労判791-8)。 3)競業制限の期間・地域等の範囲 顧客との関係を重視し、3年の制限期間を有効とする事例(前掲新大阪貿易事件)、仕事上の強いコネの保持を理由に、日本での5年間の競業制限を有効とする事例(前掲フレンチ・エフ・アンド・ビー・ジャパン事件)、元使用者の研究・開発のノウハウの点から地域的に無制限でよいとする事例(モデル裁判例)がある。また、期間は1年だが、対象は同種業者に限られることから、地理的に無制限でよいとする事例(前掲ヤマダ電機(就業避止条項違反)事件)もあるが、疑問である。なお、社内での地位が低く影響力の少ない従業員に対する3年間、地域・職種制限なしの特約を無効とする事例(東京貸物社事件 浦和地決平9.1.27 判時1618-115)がある。
質問者様の立場、業務が詳細ではないため推測となりますが、 結論から言うと、「裁判になってみないとわからない」かと思います。 素人ですが、私と立場が似ていましたので参考になればと回答させて頂きます。 私も先日、約2年勤めたエンターテイメント制作会社の企画制作職を退職いたしました。けれど、やはり同業界に惹かれるため、転職活動は同業で行っております。 私個人として競業避止に当たらないとしたのは、以下の理由からです。 ・企画職は前職のパクリ(言い方が悪いですが…)ではない限り、個人の企画力が影響する。 ・前職の開発システムをそのまま使用する訳ではない。また、開発システム(プログラム的なもの)は知らない立場にあった。 ・平社員で、関係会社との繋がりもない。もし、関係会社に転職しても前職の情報を漏らすつもりはない。 (そもそも、オイシイ情報があるような前職でもありませんでしたので…) ・サービス残業が月平均75時間で、退職金もなし。 ・業界自体の転職率が高く、同業種への転職も通常のこととなっている。 ・顧客を奪い合う業界ではなく、会社ごとの企画力がモノをいう。 以上の理由から、私は転職先を制限される筋合いはないと判断いたしました。 転職に制限をかける、それも前職と同業を禁止すると、転職も困難になる可能性があります。 質問者様の「同業転職禁止3年」は長いように思えます。 禁止されるに納得できる退職金が出ていれば微妙なところではありますが…。 あくまで個人的な判断理由を書かせて頂きましたが、この手の裁判は 個々のケースに左右され、裁判にならないと分からないのが実情だと思います。 けれど、勤務条件も正当とは言い難い前職のようですので、転職時の脅しのようにとれますね。 質問者様の転職がうまくいきますよう、祈っております! 長文、失礼いたしました。
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