格差を是正したら、今後、そんな日本から海外に出ていく若者が どんどん増えていく。 ますます、日本の人口が減っていくでしょう。 みて ↓ これが低賃金・円安の本当の害毒、人材流出は日本の真の危機の始まり 1/15(日) 6:03配信 現代ビジネス 日本の賃金の低さと円安を背景として、海外で働こうとする若者が増えている。これは、日本の労働力不足をさらに深刻化させる。 【写真】低金利時代の終了に日本経済は耐えられるか 高度専門家の海外流出は、日本の技術開発力を低下させるという意味で、さらに深刻な問題だ。 ワーキングホリデーで外国で働く若者が増加 ワーキングホリデーの制度を利用して、海外で働こうという若者が増えている。大学を休学して留学し、留学先でアルバイトしようということだ。賃金水準が高いオーストラリアやカナダなどが人気がある。 ウェブを見ると、こうした人々が就職先を探すためのサイトが多数作られている。また、さまざまな情報やサポート体制を提供するウェブサイトもある。 OECDの賃金統計によると、オーストラリアの最低賃金は25441USドルだ(2020年:21年実質価格、購買力平価)。日本の16705USドルの1.5倍になる。これは世界でも有数の高さだ。 オーストラリアドルでいうと、21歳以上でフルタイムの場合に、時給で$17.70だ。1オーストラリアドル=90円で日本円に換算すると、1593円になる。日本より6割高い。また、州によっては、国の最低賃金より高い最低賃金を決めている場合もある。 だから、日本で働くことに比べると、ずっと高い収入が得られる。 2022年には、それまでもあった日本給与の低さに急激な円安が重なり、日本と海外の賃金の格差がさらに広がった。このため、ワーキングホリデーで働く学生が増えた。 オーストラリアでは物価も高い。また、長期間住むのであれば、税や社会保険料負担の問題なども無視できない。ただ、それらをカバーするだけ賃金が高いことも事実だ。日本の条件が悪いことは、否定できない。 日本の若年労働者が減る恐れ ワーキングホリデーで働くのは1年間程度の短期間だから、これと語学研修を合わせて海外生活を経験するのは、決して悪いことではない。 ただし、賃金格差があまりに大きいので、そのまま外国に住みついてしまう場合も多いと思われる。そうなると、日本の若年者の労働力が減るといった事態になりかねない。 もともと日本では、少子化の影響で若年者の労働者が減っている。それに拍車がかかる。これは深刻な問題だ。 もっと深刻なのは、高度専門家 人材の海外流出問題は、ワーキングホリデーに留まらない。もっと深刻な問題は、高度専門家の海外流出だ。 高度専門家の場合の日本と他の先進国の給与格差は、単純労働の場合よりも大きい。昨年12月11日の本欄で述べたように、アメリカのGAFAなどの先端的IT企業の場合、トップクラス技術者の給与は、年収1億円程度になる場合が珍しくない。 最近、アメリカ大手IT企業が人減らしを始めているといわれているが、給与はむしろ顕著に増えている。 例えば、メタ(旧フェイスブック)は人減らしを始めると報道されている。 しかし、アメリカの転職サイトleves fyi によれば、トップエンジニアの給与は、昨年3月には94万ドルだったが、いまは$182万ドルと、2倍近くになっている。1ドル132円で換算すれば、2億4000万円になる! 桁を間違えたかと、何度も計算し直したくなる数字だ。 グーグルのトップエンジニアの給与は、昨年3月は102万ドルだったが、いまは115万ドルだ。 アメリカの賃金は全体として上昇しているが、それを上回る上昇率だ。このように、高度の専門家の争奪戦は、激しさを増している。 ところが、日本人の高度専門家は、日本企業で相応の給与を得ていない。このため、12月11日の本欄で書いたように、IT関連高度専門家の海外流出がすでに始まっている。 日本の大学で基礎的な知識を身に付けたあと、日本企業に就職して基礎的な訓練を受け、そしてGAFA などのアメリカ企業に流出してしまうのだ。 大学の人材も海外流出 大学人材の海外流出も始まっている。その原因は、日本の大学では給与が低いことと、自由な研究環境が得られないことだ。 高度専門家の場合には、もともと言葉の壁は低い。そして、研究者の間で国際的なコミュニティーができている場合も多い。したがって、日本からの流出は、単純労働の場合よりもっと激しくなる可能性がある。 論文数の減少、世界大学ランキングでの日本の地位の低さなどは、こうした動きと無関係ではない。 あらゆる国が競争相手 高度専門家は新しい技術の開発に不可欠なので、その海外流出は、将来の日本の発展にとって極めて大きな問題を引き起こす。これは、単に量的な意味での労働力不足というだけではない。 ワーキングホリデーが関係するのは、単純労働力だ。単純労働力を求めるのは、労働力不足を解決したい国に限られる。 これに対して、高度専門家は、労働力の量にかかわるのでなく、将来の発展にかかわる。だから、どんな国もそうした人材を確保したい。すでに競争は始まっている。 イギリスは、2022年5月、3つの世界大学ランキングのうち、2つ以上で50位以内に入った大学の卒業生に対する異例の ビザ優遇策を発表 した。激しさを増す人材争奪戦を象徴する動きだ。シンガポールは、以前から、外国人高度人材誘致のため、さまざまな施策を展開している。 このように、日本の競争相手は全世界だ。そして、給与などの待遇で実力がある国が、そうした人材を確保することになる。 単純労働者の場合には、若者が日本から流出しても、日本よりさらに所得の低い国からの単純労働力を求めればよいという考えもありうる。しかし、専門家の場合には、このようなことはできない。 人材流出を止めるために社会構造を変える必要がある 世界的な人材獲得競争が進んでいるとの認識から、政府は「教育未来創造会議」を設置し、提言を行なっている。しかし、こうしたことで、問題が解決されるとは思えない。 最大の問題は、民間企業での待遇の問題だ。 これについては、ジョブ型雇用採用の動きが始まっている。日立、富士通、NTTなどが、積極的に導入するとしている。ただし、一部の企業にとどまるだけでは、問題の解決にはならない。これをもっと広げるためには、日本企業の報酬体系が根底から改革されなければならない。 ここで述べたのは、日本社会の基本に関わる問題だ。こうした深刻な問題が起こり始めていることが、国民の間で広く認識される必要がある。そうした危機意識が共有されなければ、日本社会の構造は変わらないだろう。 野口 悠紀雄(一橋大学名誉教授) https://news.yahoo.co.jp/articles/074ca63d2183a75115b4936e966cbcaf7045913a
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