有休義務化について

働き方改革関連法で何がどう変わったのか?

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、その内の5日について、付与から1年以内に時季を定めることにより有給休暇を与えなければならないとされました。

この義務は、労働者が自主的に有休を取れば、その分減ります。たとえば、労働者が自分から3日の有休を取れば、使用者の義務はあと2日でOKということになります。また、年休の計画的付与により取得された有休日数分についても同様ですので、計画的付与で労働者が取得した有休については、義務を免れます。たとえば、計画的付与で5日の有休を与えていれば、使用者として時季指定義務はなくなります。

もっとも、この制度により使用者が有休の時季を指定する場合、労働者としては取りたいときに取れる有休を、使用者によって指定されることになりますので、場合によっては不満を抱くこともあり得ます。そうならないように、使用者としては、労働者の意見を聞かなければなりません。そして、その意見を尊重するよう努めなければならないとされています(省令)。

そして、注意すべき点としては、10日以上の有休がある人の正確な把握です。正社員やフルタイム労働者であれば6カ月間で労働日の8割働けば、10日の有休が付与されます。ですので、新入社員でも対象となります。

さらに、パート社員やアルバイト社員も対象となる場合があります。すなわち、所定労働日が、1週間30時間に満たない場合(30時間以上の場合は正社員やフルタイム労働者と同一視されます)で、週4日、もしくは、年間169~216日の労働者については、3年半以上勤務し、直近1年に8割以上出勤している場合は、法律上10日以上の有給休暇が付与されます。したがって、経営者はその付与日から1年の間に5日間の有給休暇を取らせなければいけません。

また、1週間30時間に満たない場合で、所定労働日が週3日、もしくは、年間121 ~168日の労働者については、5年半以上勤務し、直近1年に8割以上出勤している場合は、やはり法律上10日以上の有給休暇が付与されます。したがって、経営者はその付与日から1年の間に5日間の有給休暇を取らせなければいけません。このあたりは、パート・アルバイトを多く使用している小売業や飲食業などには、大きな影響があるものと思われます。

時季指定義務は、1年の間に行わなければなりません。では、1年の起算点はどこでしょうか?

これは10日付与された時点からとなります。ただ、会社が法律よりも労働者に有利に、入社時から10日の有給休暇を与えている場合はどうなるでしょうか?この場合は、入社時から1年内に5日与える必要があるとされています。この指定義務に違反すると 、30万円以下の罰金の刑事罰が科されます。なお、当然ですが、有給休暇に指定していた日に労働者が働いていた場合は有給休暇を取得したことにはなりません。

この記事の執筆者

佐々木亮弁護士

佐々木 亮弁護士

東京弁護士会弁護士。旬報法律事務所所属。日本労働弁護団常任幹事。ブラック企業被害対策弁護団代表。ブラック企業大賞実行委員。首都圏青年ユニオン顧問弁護団。民事事件を中心に取り扱う。また、労働事件は労働者側・労働組合側の立場で事件を取り扱う。

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