②教授、助教授、講師、職員などは昔は国立大学は文部省/文部科学省に属する国家公務員、公立大学勤務者は地方公務員でよかったのですか?今は違うでしょうが。 ③博物館や国立天文台に教授職があるのは何故ですか?
① かつての国立大学は国家機関だったため、何から何まで国が面倒を見てくれました。特にお金の面では、税金がほぼ無条件で投入されるため、何の心配もいりませんでした。 今の国立大学は国立大学法人となり、「自分が使いたいお金は自分で用意する。一応、国立だから国が税金を投入するけど、国立大学は3つの分類に分けて、特色のない国立大学への税金は減らす」という方針が執られています。 国立大学にも競争原理が導入されたのが、大きな変化です。 かつての公立大学も、「公立大学等設備費補助金制度」という形で、国からの税金が投入されていました。しかし、2006年税制改革に伴って、国からの税金投入はなくなりました。公立大学の場合、「地方大学は地方のお金でやって」という方針が強まったという変化があります。 ② かつての国立大学教員は国家公務員、かつての公立大学教員は地方公務員でした。いまはどちらもみなし公務員です。 ③ 国立民族学博物館や国立天文台は「大学共同利用機関法人」に該当し、所属する人は「総合研究大学院大学」の大学院教育にあたっています。この総合研究大学院大学では、教員に対して大学と同様の役職が設けられているため、国立民族博物館教授・国立天文台教授といった人々がいます。
とりあえず、国立大学について、回答します。公立の特別性は、後で述べます。 ① ②とも関連するのですが、法人化前は、国家機関でした。ですので、人事や会計制度は、全て、国の制度によることとされていました(極論すれば、鉛筆一本買うのも、国のルールに則る必要がありましたし、教員や事務職員が足りないからと言って、勝手に雇うことはできませんでした。)。また、国の会計制度からの要請で、企業等との共同研究や、寄付金などによる収入があった場合、一旦国庫に入れて、それを予算化しなければ支出できないという仕組みもありました(最後のころは、その手続きが、結構簡素化されていましたが、基本的な考え方は同様です。)。 他方で、人件費や、予算要求して認められた物件費は、全て国庫で支弁される仕組みでしたので、自前で稼がなければやっていけない、といった不安感は、ありませんでした。 翻って、法人化後は、人も物も、自由にできますし、企業とのコラボも、国の顔色をうかがうことなく自由にできるようになりました。これは、逆に言うと、お金に不足が発生しても、自分で後始末せよ、ということになります。これがよくいう運営費交付金の減額の背景です。運営費交付金というのは、上で書いたように、法人化前は、全額国の予算で賄われていたものが、急に大学で稼げ、と言われて、そもそも税金を充てることを前提に動いていたので、自分で稼げるはずがありません。そこで、当初は、法人化前と同額の予算を運営費交付金という形で、渡切のお金(大学が自由に使っていいお金)を渡したのですが、経営効率化を促すという観点から(放っておいても、同じ額のお金がもらえるなら、だれも経営効率化を図りません。)、毎年、一定の比率で削減されてきた、というものです。 ただ、いくら自由化されたといっても、そもそも、大学は稼ぐことを前提にした組織ではありませんので、この運営費交付金の削減が、大学の教育研究能力をそいできている、という状況です。 ② はい、国立大学の場合は、教員も職員も、国家公務員、公立大学の場合は、設置自治体の地方公務員でした。ですので、国立大学の場合、かつては、教員の辞令も、文部大臣名で出されていました(最後は、教授だけだったかも。)。 また、当然に国家公務員ですので、労働基本法は適用除外とされていました。ただ、教員という職種の特殊性に鑑み、「教育公務員特例法」という国公立の幼稚園や小学校を含む学校の教員を対象とした特別法で、一部、別扱いにされていました。例えば、公務員の場合、兼業が原則禁止なのですが、大学教員の場合、その能力を特定の大学にとどめておくのは不適切であるとして、他大学の非常勤講師など、兼業が認められていました。 また、公務員の場合、職位ごとの定数というのが国の方で決められており(教授が何人、准教授が何人、という具合です。よく、昔は、教授が辞めなければ助教授が教授昇格できない、などと言われていましたが、その背景にこういうことがあったのです。)、優秀な教員がいても、雇い入れるポストが空いていなければ、雇えない、という状況がありました。 法人化後は、公務員身分が外れましたので、労基法適用対象となり、また、職位も各大学で好きにできるようになりましたので、雇用や兼業などが、はるかに自由になりました。他方、労基法に沿った労務管理(大学教員とはいえ、労働者ですので、本来なら、週40時間労働規制が当てはまるのですが、そうはいかないわけで…。)が必要となってきました。 なお、給与も概念上、自由に設定できるようになったのですが、お手盛りで賃金アップを認めるわけにはいきませんので、先に述べた運営費交付金の算定根拠に含まれる教員に関しては、一応、国の給与水準に従うことが求められています(こういった教員については、退職金について、法人化前は、各大学で積み立てていなかったこともあり、国が面倒みてくれます。)。他方、その財源を含め、各大学が、退職金も含め、完全に自己責任で雇用する教員については、この給与の縛りはありません。 ③ ご質問の「博物館」は、東京国立博物館などの博物館ではなく、国立民族学博物館などの博物館として、回答します。これについては、2つの側面があります。 まず、法人化前の国立大学等は、国立学校設置法という法律に基づいて設置されていました。そして、ここで設置されていた国立学校の目的は、単なる教育機関ではなく、研究を行う機関も含まれていました。例に挙げられている国立天文台や民博、あるいは、筑波にある高エネルギー加速器研究所といったところなどです。これは、大学の機能として、教育のみならず研究というものがあるためなのですが、個々の大学がじぶんたちの大学でしか利用できない研究所を作ったのでは、非効率的ですし、上で述べた高エネ研や、ハワイに巨大天文台を作る国立天文台のような大規模研究機関を設置できないためです。このため、「全国共同利用機関」という、国公私を通じたすべての大学が利用できる研究所を作りました。当然に、個々の研究所は、研究を主たる目的として作られており、学生をとっていませんので、教育を行うことは想定されていません。他方、「国立学校」という枠内で設置したことから、この研究所は、括りとしては「学校」に該当し、そうなると当然に、そこに属する研究者も、学校における教員と同じ身分である必要があることから、教授等とされたわけです。 なお、一般の大学でも、もっぱら研究の実を行い、教育に携わらない教員も必要となります(かつてあった、京大の霊長類研の研究者は、一年のほとんどを東南アジアのおサルさん研究に費やしていましたので、教育なんかできるわけがありません。)。そこで、大学設置基準という法令においては、「大学には、教育研究上必要があるときは、授業を担当しない教員を置くことができる(第9条)」とされています。 なお、冒頭で公立大との違いについて触れましたが、大きく二つ、違いがあります。 まず、国立大学はすべて法人化されましたが、公立大学については、設置自治体の判断により、法人化することもしないことも選べるようになっています。具体的な名前は見つけられなかったのですが、現在、100校ほどある公立大学のうち、1割程度が、まだ法人化されていないようです。これらの法人化されていない公立大学は、①で書いたように、いまだに各設置自治体の機関であり、教職員は、みな公務員とされています。 なお、法人化された公立大学法人についても大きく2種類あります。一つは、そのトップが国立大学と同様、法人の長(理事長)と学長を兼ねるタイプで(国立大学の場合は、複数の大学を傘下に置く法人を除き、皆、法人の長と学長は同一人物とされています。)、もう一つは、理事長と学長を分離している例です。
あなたも回答してみませんか?
今の国立大学法人と公立大学法人についてお聞きします。 ①結局昔の国立大学/公立大学とは違って、何がどう変化したのでしょうか?②教授、助教授、講師、職員などは昔は国立大学は文部省/文部科学省に属する国家公務員、公立大学勤務者は地方公務員でよかったのですか?今は違うでしょうが。 ③博物館や国立天文台に教授職があるのは何故ですか?
※Yahoo! JAPAN IDでのログインが必要です
企業のギモンをYahoo!知恵袋で解決しませんか?
※Yahoo! JAPAN IDでのログインが必要です
関連する会社を探す
総合満足度が高い会社ランキング
企業の最新情報をメールでお知らせします
あなたにおすすめの会社をフォローしてみませんか?
※求人情報の検索は株式会社スタンバイが提供する求人検索エンジン「スタンバイ」となります。