●試用期間:本採用に先立ち、職務能力や企業適応性 を見るための制度。法的性格は「解約権が留保された労働 契約」と解されている。 ■上記が定義ですが、試用期間は労働者を面接などだけ では判断できず、実際の職場で試しに働いてもらう期間です。 この間で使用者である会社側が採用した労働者の勤務ぶり などを観察などし、試用期間終了後に採用された労働者と 雇用内容が一致すれば晴れて本採用(正社員)となります。 試用期間ですから、当然に本採用の拒否=つまり正規に雇用 しない場合もあります。労働基準法では試用期間の長さまでは 定義しておりませんが多くて3ヶ月~6ヶ月、最長でも1年以内 とされております。試用期間中の労働者の地位は極めて不安定 なために長すぎると公序良俗違反(例:日本プラザー工業事件など) になるからです。本採用の拒否が認められる場合は、 試用期間の満了が解雇理由になるわけではなく、採用時点では、 「わかっていたら採用されなかったような事実が発覚した場合」などです。 1番多いのは「経歴詐称」です。又、採用後14日を越えていれば労働 基準法により解雇予告の規定も適用されます。 ■試用期間の延長について よく試用期間の延長について労働の本やサイトなどでも、延長できる 場合があると記載がありますが、 「延長はできません!」これが前提です。 試用期間の延長は、労働者を不安定な地位におくものなので、特別な 事情や合理的な理由がなければ認められないというのが裁判所の過去 の見解であり、昭和45年7月10日大阪高等裁判所「大阪読売新聞社 事件」判事609号86項、昭和48年5月31日長野地方裁判所諏訪支部 判決、「上原製作所事件」半夕298号320項、試用期間の延長という 方式がとられているとしても、当初の試用期間が満了し、契約終了と ならなかった以上、本採用(正社員)としての契約に移行するものと考え られております。 上褐上原製作所事件では、試用期間の延長に合理性がある場合で あっても、手続的瑕疵により、無効となる場合には、試用期間の経過により、 正式雇用に移行すると判示しております。 ■上記、試用期間の延長まで触れましたが、試用期間は労働者の適正 などを企業である使用者が観察する期間です。従って採用されたといっても 正規ではなく、本採用拒否=解雇が広くもっている労働契約期間であり、 労働者にとっては正規で雇用されるか心理的不安も大きい時期であります。 上記が簡単な試用期間の内容ですが、上記裁判判例上から、試用期間 を延長することはさらに労働者の地位を不安定を増すことから厳しい制限が あり試用期間延長についての労働事件も昨今はある模様です。 尚、試用期間終了で本採用拒否は法律的には「解雇」ですので、 最高裁判所の判例、いわゆる日本食塩製造事件の「客観的に合理的で 社会通念上相当でなければなりません」。しかし、三菱樹脂事件判例の ように正社員の解雇制限より緩い解雇権が認められており、そのために 「解雇権が留保された労働契約」というのが定義で御座います。 参考になれば幸いです。 (参考:裁判所時報667号4項、最高裁判所民事判例集29巻4号456項、 半例小六法 三修社、身を守るための労働法 労働調査会より)
字のごとく、お試し期間ですから・・・試して駄目ならば、「さようなら」です。 景気も景気ですから、会社も駄目なのを置いておけるだけの体力はありませんから。
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