労働基準法・労働契約・就業規則の関係について
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労働基準法、労働契約、就業規則の関係は?
労働に関するルールを定めるものとしては、主に、
- 労働基準法
- 個別に締結された労働契約
- 事業場ごとに定められた就業規則
がありますが(このほかに労働協約というものもあります)、それぞれの中身が異なる場合、どれが優先されるかを整理したいと思います。
就業規則と労働契約の関係
事業所ごとに定められる就業規則も、雇用主と従業員が一対一で締結する労働契約も、どちらも雇用主と従業員の労働関係のルールとなるものです。では、就業規則と労働契約の内容が異なる場合、どちらが優先されるのでしょうか。
就業規則の方が従業員に有利な場合
例えば、就業規則には退職金の定めが書いてあるのに、個別の労働契約では退職金なしという記載がある場合、就業規則の定めが優先され、退職金が払われることとなります。
このことは労働契約法12条に「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による」と明記されています。就業規則の内容よりも従業員に不利な内容の労働契約があった場合でも、労働契約の条項は無効となり、就業規則の内容が優先されるのです。
労働契約の方が従業員に有利な場合
逆に、労働契約の方が就業規則よりも従業員に有利な内容となっている場合はどうでしょうか。この場合は、就業規則よりも個別の労働契約の内容が優先されることになります(労働契約法7条ただし書)。
つまり、就業規則と労働契約の内容が異なる場合は、従業員に有利な方が優先されることになります。
労働基準法との関係
労働基準法は、労働関係のルールを定める法律です。残業代の割増率、有給休暇の日数など労働関係に関する様々なルールを定める労働基準法です。その趣旨は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」(労働基準法1条1項)という考え方から成り立っています。
せっかく労働者の立場を強化するために定められた労働基準法ですが、その内容よりも不利な契約が有効となってしまうと意味がありません。そこで、労働基準法13条は「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による」と定めています。
つまり、労働基準法の内容よりも不利な内容を労働契約に定めたとしてもそのような定めは無効となるのです。「残業代は払わない」「有給休暇は取得できない」などという規定を労働契約に記載したとしても、そのような定めは意味がありません。
同様に、労働基準法よりも不利な内容の就業規則についても効力はありません(労働契約法13条)。
他方で、労働基準法よりも有利な内容を就業規則、労働契約で定めることは当然ながら禁止されていません。その場合、就業規則や労働契約で定められた有利な内容が有効なルールとなります。
以上のとおり、労働基準法、就業規則、労働契約の内容が異なる場合、結局は、そのうち一番労働者に有利な内容が有効となるのです。