質問・相談一覧へ戻る

  • 解決済み

日本の海上保安庁と アメリカのUSCG(沿岸警備隊) ってに同じ性質の組織ですか?

質問日2013/05/06 00:09:53
解決済み2013/05/07 21:27:30
共感した0
回答数1
閲覧数3240
お礼0

ベストアンサー

単刀直入にいうと、性質(性格)という意味で言うと、 海上保安庁(JCG)とアメリカ沿岸警備隊(USCG)は似て非なるものだと言えます。 沿岸警備隊というのは国際法にも国際海洋法にもどこにも『沿岸警備隊とはこうでなければいけない』という条文は無く、明文化されているわけではありません。ただし慣例上(※)、主権のおよぶ海洋や内水域(河川・湖沼)での哨戒・警備救難活動を行う組織を沿岸警備隊と呼んでいるので、簡単に言えば自国の海を守っている組織であれば、どこでも沿岸警備隊と言えます。 (※)海洋上は歴史的に最も古くから行われている国際交流の場の一つで、また様々な文明の人間が交流する場でありながら近代のような国際機関は存在せず、統一したルールを作ることができなかったので、海の上では現場レベルの慣例を重視しする傾向があります。 なので、JCGもUSCGも同じ沿岸警備隊かという問題であれば答えはYESです。 しかし、同じ性質(性格)を持った組織かという問題であれば答えはNOです。 USCGというのは、アメリカ海軍が外海からの攻撃に軍事力を以って対処するのに対し、その海軍の手の届かない沿岸付近や内水域を法執行を以って国や国民を守る為に設立されています。ここまでは、日本のJCGとほとんど差異はありませんが、この後が重要です。それは、USCGは第二の海軍(海軍の補佐)つまり陸・海・空軍と海兵隊に次ぐ5番目の軍隊として明確な認識の下組織されており、もっと簡単に言えば法執行権を有した海軍として存在しています。 そのためUSCGの隊員は皆、海軍の兵士と遜色のない訓練(戦闘訓練・兵器使用訓練)を受けており、階級も海軍に準じたものが採用されています。もちろんUSCG隊員には、海軍の特殊部隊であるNavy SEALsへの直接応募資格も付与されています。しかも、有事(戦時)の際にはアメリカ国防総省の指揮下に完全に入り、海軍の一部隊として運用されることが合衆国法典によって決められており、事実USCGは第二次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争などにも参加しています。 実際には戦時にUSCGが直接戦闘をすることはほとんどなく、海軍が到着するまでの偵察や港湾確保・駐留地での海軍の艦船・艦艇警護が主な任務となりますが、装備や兵器のほとんどが海軍に準じた物になっており、小中規模の敵海軍力であれば単独でも戦闘に耐えられる可能性を有しています。 では、日本のJCGはどうでしょうか? まず、主任務である領海内での警備救難活動はUSCGと変わりありませんが、設立した(法的)根拠が違います。USCGが海軍の補佐的意味合いで設立されたのに対し、JCGは完全に海上自衛隊とは独立した任務を負った組織として設立されています。 また日本国内法によって、JCGが所有する装備や海上保安官をいかなる場合(戦時)であっても軍事力(兵力)として使役することを禁じており、平時においては兵力として訓練することも禁止しています。なので、犯罪者に対する捜査力と言う意味の戦闘力は司法警察権限や装備の観点から絶大だと言えますが、他国軍事力やそれに準じた組織に対する戦闘力は権限(交戦資格)や兵器を所持しておらず、皆無に近いです。 つまり、JCGは純粋な警察・消防・救難組織であり、準軍事組織であるUSCGとは全く別物の組織であるという事です。普段行っている任務(警備・救難活動)が同じであっても・・・その根底にある性質が違うという事です。 なおUSCGは海軍の中古艦船や兵器を使用することがありますが、JCGでは海上保安官が軍事に使われる装備・兵器を使用することができない為、護衛艦の全ての装備・兵器を外してから、ただの箱としての船舶、空っぽの船として受領することになり、且つ護衛艦ほどの大型で複雑な船舶を運用するには莫大な予算と人員と習熟訓練が必要となるなど、根本的な装備増強にはならないため、JCGと海上自衛隊による装備や兵器の相互利用はありません。 また、日本有事の際には自衛隊法により内閣総理大臣の命令によって防衛大臣の指揮下に組み入れられる可能性がありますが、あくまでも防衛大臣の指揮権は海上保安庁長官に対してのみであって、JCGの各部隊や海上保安官に直接防衛大臣が指揮できるわけではありません。加えて、前述の理由によりJCGを軍事的戦闘へ参加させることはできませんので、防衛大臣から長官への命令は、自衛隊員の救助や情報収集、また重要施設への警備指示に限られます。 国際法上では、沿岸警備隊が戦時に(軍事的)重要施設を警備することは、すなわち軍事行動である、という観点からJCGにも交戦資格があるという認識がありますが、これもやはり日本国内法によってJCGの交戦資格は否定されているので、おそらく海上保安官が他国の軍隊と戦うことは無いでしょう。というか、戦闘力の無い巡視船では盾にもならないかもしれません。パトカーが戦車や装甲車と戦うようなものです。

回答日2013/05/07 20:16:09
参考になる2
ありがとう0
感動した0
おもしろい0

質問した人からのコメント

詳しいご説明感謝いたします。 どっかの議員が 尖閣は海保で十分守れるなんて言っていたを思い出しましたが 説明を受けた後だとゾッとします(;゚д゚)

回答日
2013/05/07 21:27:30

海上保安庁
クチコミ

この会社を見た人は
こんな会社も見ています

関連する会社を探す

総合満足度が高い会社ランキング

会社をフォローする

新着クチコミや新着Q&Aなどの
最新情報をメールで受け取れます!

海上保安庁

フォローする

※Yahoo! JAPAN IDでのログインが必要です

マイページの配信設定内の「 フォロー中企業の新着情報 」の設定をオンにしてお使いください

フォローしている会社

フォロー中の会社はありません

フォローすると新着クチコミやQAなど、会社の新着情報をメールでお知らせします

あなたにおすすめの会社をフォローしてみませんか?

海上保安庁をフォローしました

あなたのWeb履歴書を登録しませんか?

Web履歴書を登録すると、気になる企業へのエントリーが簡単になります!

企業の最新情報をメールでお知らせします
あなたにおすすめの会社をフォローしてみませんか?

スタンバイロゴ

※求人情報の検索は株式会社スタンバイが提供する求人検索エンジン「スタンバイ」となります。