私は、ある学習塾(一部上場、本社札幌)の地方の本部で学生講師をしています。 最近職員の学生講師の扱いがひどく辞めようかと思っています。 雇用通知書の内容を抜粋すると、 ・所定就業時間は担当クラスの授業開始15分前から授業終了後20分まで ・自己都合退社の場合は原則1カ月前に職員に申し出ること といったことが書かれています。 しかし、実際は本部以外の会場(近いところでも本部から10分はかかる)での授業の際も本部経由で会場まで行かなければなりません。しかも、遅くても20分前には会場に行き鍵を開けて外で生徒の出迎えをしろと言われています。加えて、本部で職員からその日の指示を聞かなければならないので、本部には授業1時間前には来いと言われています。(前に、行くのが遅いと職員からキレられました) 私は、本部についた時点で就業時間は始まると思います。 一般的にこのような会場移動の時間は就業時間に含まれないのですか? あと、授業終了後も最低40分は帰れません。(授業後には、生徒と一緒に教室の掃除、テストのマルつけ、日誌の記入などの業務をしなければならないため) 授業後20分で帰れたことは今まで1度もありません。 もちろん、本部以外の会場の場合は一度本部に戻らないといけません。 私は、これらは雇用通知書の所定就業時間に反していると思います。 そこで、労働基準法第15条2項の適用により、通知書で指定された1か月前の予告がなくても即時に雇用契約を解除することは可能でしょうか? 法律知識をお持ちの方、回答よろしくお願いします。 +++++ これだけでは決定打に欠けるかもしれないので賃金についてもう一つの事例を書きます。 相互見学というものが雇用通知書には記載されていませんが講師には義務化されています。 他の講師の授業を見学に行くというものですが、1コマ80分~100分の授業を2回見学して給与はたしか1000円です。(雇用通知書には記載されていないので口頭で聞いただけですが・・・) もちろん時間給に換算すると最低賃金以下です。
①契約の即時解除について 15条2項による労働契約の即時解除が可能であると考えます。理由を以下で説明します。 労働基準法15条1項が労働条件の明示義務を定めているのはご指摘の通りです。この規定を受け、労働基準法施行規則5条は、明示義務を負う労働条件の具体的内容として、1号の2で就業の場所及び従事すべき業務に関する事項を、2号で始業及び終業の時刻、所定労働時間を定めています。 ご質問の内容において明示された労働条件と実際の労働条件が異なると言えるためには、所定就業時間前後の拘束時間が労基法上の「労働時間」に当たる必要があるため「労働時間」の意義が問題となります。 労基法上の「労働時間」とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」(三菱重工長崎造船所事件,最高裁平成12年3月9日の判例)とされており、労働時間に当たるか否かは契約書の内容や当事者の意思にかかわらず客観的に判断されます。これは最高裁の確立した判例法理です。 そのため、質問内容にある職員からの指示で会場に行く前に本部に行って指示を受けたりする時間も「労働時間」に当たることになります。授業終了後の40分についても同様に「労働時間」に当たります。あなたがおっしゃる「もう1つの事例」ももちろん「労働時間」です。よって、法律上明示が義務付けられている労働条件に関して明示された労働条件と実際の労働条件が異なっていることになるので、15条1項及び規則5条違反といえることになるのです。その結果、労基法15条2項が適用され、労働契約の即時解除権が発生します。 なお、上記の三菱重工業長崎造船所事件は、ご質問内容に類似する事案で、始業前・終業後の更衣室での着替え・準備及び作業場までの移動時間について「労働時間」に当たると認定されました。 ②所定就業時間外の賃金について 蛇足になるかもしれませんが、時間外労働分の賃金についても一応説明しておきます。 質問内容の所定就業時間の前後の労働時間に関しても当然に賃金が発生していますから、その分の賃金請求権を有しています。労働契約の解除に際して、この分の賃金も請求することも可能です。請求できる金額は時給制なのであれば、通常の講義における時間給×所定就業時間前後の超過労働時間で計算することになります。「相互見学」なるものも「労働時間」であり通常の賃金請求権が発生しますので、支払われた給与1000円との差額分について賃金請求権を有しています。会社が支払いに応じないようであれば、労基署に相談して指導してもらうと効果がある可能性があると思います。 ③質問内容を読んで受けた印象 あなたの文章は明快でよく整理されていると思います。法律に関しても労基法をご自分で読んでそのように筋道立ててお考えになったようで、大変すばらしい理解力であると思います。感心しました。
質問した人からのコメント
わかりやすい解説ありがとうございました
雇用通知書の絶対的明示事項である労働時間の記載内容と実際の労働時間が違いますので、労働基準法15条2項に定められた労働契約の即時解約が可能だと思われます。 また、期間の定めのない労働契約であれば、雇用契約書や就業規則に「退職の申出は1か月前」とされていても、民法(627条1項)の規定が優先され「2週間前」に退職の意思を伝えれば、2週間で労働契約が終了します。 労働時間は、本部に出社時(上司の指示を聞いた時)から、授業以外の業務が終了した時(本部に戻る必要がある時は本部に戻り必要な業務が終了する時)までです。 本部から教室までの移動時間は、業務に必要な移動を命じられていますので、その時間に寄り道することが許させないなど、あなたの自由に使えないのであれば、労働時間としなければなりません。 相互見学については、見学時の賃金が明示されていないのであれば、通常働いた分の賃金を支払わなくてはなりません。その時間に対する賃金が明示されていても(口頭でも原則、有効)、最低賃金を下回ることはできません。あなたの場合、最低賃金を下回っていますので、その労働契約部分は無効になり、通常の賃金が支払われることになります。
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