こういったことは決算発表の資料を見ると結構見えてきます。 川崎重工は今年の第一四半期の売上高は2800億円に対して三菱重工は6500億円です。倍以上の開きがあることが分かります。勿論、川崎重工には二輪用エンジンが含まれているのに対して三菱自動車は三菱重工と別会社なので統計に含まれない等の差がありますので単純に売り上げの大小を比較してもあまり意味がありません。 売り上げの内訳を比較すると、 三菱重工は3割を原動機、他には船舶・機械・航空宇宙・汎用機がそれぞれ15%ずつとなっています。 原動機は発電用のガスタービンなどを指します。船舶はもちろん船を造っていますし、機械は鉄道やプラントなどを指します。航空宇宙は宇宙開発ロケットや戦闘機、まだ製品化されていませんが旅客機などを指します。汎用機はフォークリフトなどの特殊な車や戦車などが該当します。 一方川崎重工は航空宇宙・ガスタービン・原動機がそれぞれ2割弱を占め、海洋・車両・プラント・精密機械がそれぞれ1割強です。 海洋は普通に船舶ですし、車両は鉄道車両を指します。航空宇宙ではボーイングへ向けて部品を製造したり、自衛隊の航空機を供給しています。ガスタービンが曲者で発電用ガスタービンだけでなく、航空機用ジェットエンジンも含みます。プラントは工場などのプラントを指します。原動機は2輪車などを含む車両やボートのエンジンです。精密機械は油圧機器です。 つまり、川崎は2輪から航空機まで輸送機械を幅広く手掛けており、それらで売り上げのほぼ半分を占めていることが分かります。三菱は自動車は別会社が担当していますし航空機は戦闘機やミサイルの様なシビアですが小型のものが主で大型機やヘリとなると川崎が先行しています。そのほかにも鉄道も強いですしこのような大きな乗り物を作る技術が高いと言えます。 海洋ではLNG船や潜水艦で三菱と完全に競合しており、熾烈な戦いを繰り広げています。 また、ガスタービンは三菱が大型の物に特化している一方で川崎は小型の特殊用途に特化することで対抗しています。 このように、三菱重工と川崎重工では近いことをやっているものの、実は競合している部分は少なく、住み分けている部分が多いです。
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