城山三郎『官僚たちの夏』(新潮社)はどれぐらい官僚の仕事の実態を正確に描けているのでしょう？

原作はほぼ実話をもとに描かれたものですから、正確といっていいです。 官僚をかっこ良く描きすぎじゃないかという意見もあるようですが、今でも役人の世界は、それなりの 使命感を持って仕事に励んでいるものです。ただ、あの本の最初のほうに出てくるような、 「大臣を屁とも思わない官僚」みたいな時代は完全に終わり、今では色々言われますが 政治のほうが優位の時代になってます。この小説も、そういう政治優位の時代を暗示させる終幕になっていますが、 詳しいことは読んでのお楽しみです。 なお、よくあの本を読みもしないで「あの頃の官僚は偉かったが・・・」とかいう人が多いのですが、 実際は当時のほうが官僚ははるかに特権を享受していて、接待などやりたい放題でした。