ITコンサルタント

この仕事に就くためには、情報系や経営系の大学・大学院を卒業し、IT企業や経営コンサルティング会社で実務経験を積むのが一般的である。多くの場合、ITシステムの構築や運用を長く経験した者か、様々な経営コンサルティングに携わりITの専門能力も高い者である。

顧客のIT戦略のコンサルティングを行ったり、実際に顧客にシステムを導入するまでの一連の作業の経験を重ね、スキルを高めていく。また、経営もITも、必要となる知識やスキルは非常に幅広いため、業種や対象とするシステムについて得意分野を持つことが多い。ITコンサルタントは、顧客、市場、業界、また、関連法規をよく理解し、ITを活用した経営戦略を考えられることが必要である。また、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークに関する知識や経験が必要である。

ビジネスや社会の変化や動向を的確に把握しておく必要があり、ITは技術革新が急速なため、常に新たな技術や製品について情報収集することも必要である。また、顧客のために最善となる方策を客観的に検討することが求められる。

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード

顧客のIT戦略に関して、コンサルティングを行い、提案、助言する。顧客のIT投資において、大局的な観点から、経営戦略の策定（目標やビジョンの策定）に関してコンサルティングを行ったり、具体的に、顧客の情報化に関して、課題の整理や分析、またその解決法を検討する。

経営戦略におけるIT投資のコンサルティングは経営コンサルタントの仕事に近く、ITの知識を活用し、IT活用を前提とした経営コンサルティングといえる。具体的な課題整理や課題の分析はシステムエンジニアの仕事に近く、ITや通信技術を活用し、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークによって構成されるシステム全体の設計や開発の検討を行う。この際、システム構築事業者からは独立した客観的な立場から、開発するシステムについて検討する。経営戦略のコンサルティングから具体的な開発のコンサルティングまで、仕事は幅広いが、どちらかに特化して仕事をする場合もあり、規模の小さな案件ではこの両者を行う場合もある。

IT投資のコンサルティングでは、顧客、市場、業界に関する情報を収集し、関連する法規制を把握し、顧客の経営計画、ビジョン、ミッション、課題等を整理する。経営戦略に関して、顧客と意見交換したり、経営トップの考え方を把握する。このように収集、整理した情報から、経営の視点で課題を抽出し、IT投資によって課題をどのように解決するか戦略を考える。

IT開発のコンサルティングでは、顧客のビジネスやITでの課題を分析し、情報システム構築によるソリューション（解決策）を検討する。情報機器、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、またセキュリティなどを総合的に考え、開発するシステム全体の構造や開発方針に関して提案する。開発するシステムが満たすべき基準を明らかにしたり、技術的なリスクについても事前に影響等を評価する。
大規模なシステムの案件では、様々な技術者や色々な会社と共同で戦略やシステムを検討する。主に自社で仕事をし、顧客先でプレゼンをしたり会議をする。

◇　よく使う道具、機材、情報技術等
　文書作成ソフト（Word、一太郎等）、表計算ソフト（Excel、スプレッドシート等）、プレゼン資料作成ソフト（PowerPoint、Keynote等）、パソコン

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード

勤務先は、シンクタンク、経営コンサルティング会社、システム開発会社等である。職場は都市部に多い。賃金、労働時間等労働条件は勤務先の規定による。担当した案件や仕事の成果によって給与の個人差が大きくなる場合もある。コンサルティングの状況によって忙しさが異なり、IT戦略をまとめるとき、システム開発の方向を決めるとき、また、新たに検討しなくてはならないことが発生した場合等には会議等の仕事が長時間となることもある。

今日、あらゆる分野で情報化が進展し、日々、新たな技術も生まれている。多くの選択肢の中で、客観的で最適な提案を行うコンサルティングへの期待は大きくなっており、活躍の場は広がっている。

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード