入口から出口まで手を離さない。株式会社manebiの考える「幸せな就職」とは?

更新日:2023年12月18日

入口から出口まで手を離さない。株式会社manebiの考える「幸せな就職」とは?

社内のコミュニケーションや研修のあり方に変化が生まれている今、求職者や転職直後の人が会社のカルチャーを知る機会はとても貴重になっています。早い段階で新しい環境に慣れ、活躍していくにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、企業向けオンライン教育プラットフォームと人材派遣業界向けeラーニングを提供する株式会社manebiのHR部 平賀晶雄さんにお話を伺いました。

企業向けオンライン教育で新たな価値を創出する株式会社manebi

ー まずは株式会社manebiについて教えてください。

弊社は2013年8月に設立し、設立当初はCtoCラーニングのプラットフォームを提供していました。現在は企業向けに、オンライン研修のプラットフォーム「playse.(プレース)」と、人材派遣業界に特化したeラーニング「派遣のミカタ」を提供しております。

この2つの事業が中心となった背景には、2015年、2017年に行われた派遣法の改正があります。この法改正の影響でeラーニングプラットフォームの需要が非常に増えました。そこで人材派遣事業の会社様向けにeラーニングサービスの提供を始めたというのが、「派遣のミカタ」のスタートです。

まず「派遣のミカタ」についてご紹介すると、こちらは派遣スタッフの方によるラーニングコンテンツの利用とともに、学習履歴のデータ作成まで簡単にできるサービスです。現在の派遣法では、派遣会社が派遣スタッフに対して、1年間当たり8時間のキャリア形成支援を行うことが義務付けられています。そのため人事担当者は数百人、多ければ数千人もの派遣スタッフさん全員に関して、学習のエビデンスを残し、労働局に提出する必要があります。「派遣のミカタ」は学習履歴のデータ作成まで簡単にできるので、派遣会社の人事ご担当者様のニーズに合致し、かつ工数や負担を考えると安価なサービスとなっています。

株式会社manebiのオフィス
株式会社manebiのオフィス

ー 「playse.(プレース)」についてもお聞かせください。

「派遣のミカタ」が派遣業界に特化したサービスである一方で、「playse.」は全業界向けのオンライン教育プラットフォームサービスとして提供しています。「playse.(プレース)」の紹介で私がよくお話しするのは予備校の例です。私は以前、予備校の講師をしていたのですが、集合型で授業をする学校や予備校では、クラスごとに授業進度にばらつきがあり、「このクラスではこれを教えたけれど、こっちのクラスでは教え漏れていた」ということが起こります。

しかし、eラーニングを提供する予備校では、人気講師によるクオリティの高い授業をいつでもどこでも誰でも受けられるので、非常に高い価値が生まれます。同様に企業の研修においても「playse.(プレース)」を使っていただくと、新しく入社した方々全員に対して一定のクオリティを保った研修ができます。

また、弊社が現在保持している3,000以上のコンテンツを使って、学習フローをわかりやすくする「トレーニングマップ」を作成して学んでいただくこともできます。さらに、導入企業様のオリジナルコンテンツもシステム内にアップロードできるので、新入社員の方々などがキャリア形成のためにお役立ていただけるのも特徴ですね。

playse.(プレース)
playse.(プレース)

カルチャーフィットを早めるオンボーディングプログラム

ー 社内の制度で力を入れていることを教えてください。

弊社では、入社された方の早期活躍を目的としたオンボーディング制度に非常に注力しております。一般的に、新しく入社した方が活躍できるようになるまで、平均2年程度かかると言われています。しかし弊社では、そのプロセスにおいて会社のカルチャーや職場環境にフィットしていく時間をなるべく短縮したいと考えています。

また弊社でよく飛び交う言葉として「アンラーニング」があります。ハイレイヤー、ミドルレイヤーの方、つまり経験豊富な方ほど前職までの知見や成功体験というものを新しい会社に合わせてアップデートすることがなかなか難しい傾向があります。こうした場合を含め、新しい会社の文化に早く慣れて、早期活躍していただくためのオンボーディングプログラムを大切にしています。

実施期間は約3ヵ月で、非常に特徴的な点としては、入社した1人に対して4名のサポーターがつくことです。入社時からティーチャー、メンター、サクセスコーチ、そして我々HR部が、それぞれの役割を持って担当につきます。縦・横・斜め、さまざまな角度からのサポートを通じて、会社になじんでいただき、かつ小さな成功体験を積み重ねて仕事の目標も達成できるようにサポートさせていただくプログラムになっています。

ー 1人につき4人からのサポートは、とても手厚いですね。その3ヵ月のプログラムで、具体的にはどのようなことをされるのでしょうか。

オンボーディングプログラムの全体としては、「個人と企業が共に幸せになれる」ことを目指しております。まず入社後1週間は、会社やプロダクトの概要を学んでいただく期間です。オンボーディングに対する弊社の考え方もインプットしていただきます。目標達成のための技術や選択理論というものも学ぶのですが、それらをなぜ体得する必要があるのかを説明することから始めます。

続いて目標設定と全社員の前での発表、課題図書3冊のインプットとそこから得た学びの確認、個人のミッションやビジョン、バリューづくりがありますね。目標発表は、業務上の定量目標やどういった能力・スキルを身につけていきたいという定性的な決意表明です。入社2週間以内に決めていただいています。

プログラム期間中は担当につく4者との定期面談があるほか、3ヵ月後に目標達成チャレンジ発表というものがあります。これも全社の前で行うもので、自分の目標をどの程度達成したか発表するものです。基本的にウィンセッション(成果の賞賛)なので、成功体験をつかんでいただくのが主な目的です。プログラムの最後は、担当の4者でそのメンバーに対する振り返りを行い、エンゲージメントを測って終了となります。

全社協力のオンボーディングで離職率が大幅に改善

ー オンボーディングプログラムを取り入れて、どのような効果がありましたか?

やはり離職率が大きく下がりました。弊社では、一時的に離職率が高くなってしまった時期がありました。事業の成長とともに積極的な採用をおこなった背景もありますが、オンボーディング制度が整っていなかったことも原因のひとつと考えています。そこで、2020年にこのプログラムの前身であるショートオンボーディングを始めてからは、離職率が3%まで低下しました。

弊社の場合は、経営層が離職率に非常に危機感を抱いており、代表の田島を中心とする取締役役員が、この離職率を改善して、ミッション、ビジョン、バリュー等のカルチャーを推進する方法を真剣に考えてメンバーに落とし込んでいきました。オンボーディングの目的意義もきちんと伝えて進めていくプロセスが非常によかったのではないかと思います。

ー プログラムをつくる際に苦労されたこと、難しかったのはどのようなことでしょうか。

弊社でのオンボーディングプログラムづくり自体はわりとスムーズに進んだのですが、一般的によくぶつかる壁というものはありますね。いろいろな場合がありますが、一般社員からオンボーディングを上申する場合は理解を得るのが難しい、あるいはトップダウンでやろうとすると目的意義が伝わらず、「現場は忙しいんだから」という反応が生まれるケースが多いです。

弊社に関してはその点がスムーズで、自然に突破できました。やはりトップの危機感とメンバーへ協力を仰ぐメッセージがあり、皆でプログラムづくりに深く入り込んだからではないかと思います。「代表がこれだけやっているのだから、自分たちも何とかしよう」という意識のもと、全社の協力下で進められましたね。

ー オンボーディングプログラムに対して、社員の方からの評判や声があれば教えてください。

受けた側からは「手厚過ぎるぐらい手厚い」という声が多いです。「1人の社員に対して、ここまで時間をかけてもらうのが申し訳ない」という感想もあるほどですね。担当につく4者はそのメンバーとそれぞれ面談をしますが、隔週で「Aさんの様子は最近どうですか」という4者の状況共有ミーティングも行っています。この情報交換も真剣なかかわりをつくる要素の1つで、それはメンバーにも伝わっているようです。

納得できて、楽しめる評価制度を

ー 続いて、人事の評価制度についても教えてください。

一般的なMBO(目標管理制度)に近い制度で、半期ごとに評価と査定を行っています。評価制度らしい評価制度が初めてできたのは2021年末で、現在の制度は元からあった内容のマイナーアップデート版という位置づけです。新しい制度では上からSS、S、A、B、Cの5段階で評価が行われます。評価の1つめがいわゆる定量評価で、これは「売上が100万円だったらS」や「110万円だったらSS」のような誰が見てもわかりやすい定量的な目標を個々人が設計します。

もう1つは定性評価で、自身の能力・スキルをどれだけ高められたか、またそれに沿って半期でどれだけの行動ができていたかというコンピテンシー部分を評価します。この定量評価と定性評価の掛け合わせで昇給が決まり、昇格や呼称の変更などについては、manebiのバリューに基づいた行動ができていたかで判断しています。この3つの掛け合わせで最終評価が決まっていますね。

ー 評価制度を見直すきっかけなど、なにか背景があったのでしょうか。

そうですね。上場に向けて強い評価制度をつくる必要がありました。また評価に対する納得度が、メンバーやメンバーの上長、経営陣からも低かったという理由があります。メンバーは「なぜ自分の給与がこれだけ上がったのか、または上がらないのか」が分かりづらい。

上長側からすると、メンバーの頑張りに報いてあげることや、「どれだけやればこうなれる」、という説明が難しい。そして経営陣からするとメンバー、上長がなぜこの給与になっているのかが非常にわかりにくいという状態でした。その曖昧さを除くために評価制度をつくったのですが、私が設計していく際、まず前提条件として評価に紐づく等級制度と賃金制度、この2つを整備することから始めたため、時間がとてもかかりました。納得度の高い評価制度をつくるために段階的に整えていく必要がありました。

ー 新しい評価制度に対して、ネガティブな反応は出てこなかったのでしょうか?

MBO式で評価をされてきた、またはしてきた人からはわりとスムーズに受け入れられて「とてもわかりやすくなったね」という反応がありました。一方、こういった評価制度や目標設定に慣れていない方からは「理解が難しい」という声ももらいましたね。ただ、今回の評価制度は自身の頑張りや成果が評価や昇給につながりやすい、またはきちんと反映されやすいような設計になっています。

今の弊社のフェーズとして、中途入社でお迎えする方々が「プロフェッショナル人材」であることが多く、求める要件やスキルにともなって給与水準も高くなるケースが多いです。既存社員と新入社員間の給与キャリブレーションは人事課題としてよく挙がるところでもありますし、個人的なミッションとしても認識していたので、そこを制度の中で十分担保できるように意図して設計したつもりです。

今は採用市況が非常に難しい状況なので、弊社と同じ業界カオスマップにいる、いわゆるHRTechやSaaSモデルの企業では、平均給与がどんどん上がってきています。マーケターやフィールドセールス、あるいはエンジニアの人材を取ろうとすると、賃金競争のようになっているのが現状です。そのためハイレイヤーの方やミドルレイヤーの方だけでなく、若手層もどんどん給料が上がってきていて、転職をすると給与面で得であるという状況になっています。

だから今回の評価制度を導入するコンセプトは、今いる社員さんたちに評価や査定の一連のプロセスを通し、成長の実感を持っていただくこと、そしてそれを楽しんでいただくことです。評価や査定は嫌なものと捉えられる側面があると思いますが、それを本当に楽しみ、成長を楽しんでいただくことで、結果的に給料やクオリティ・オブ・ライフが高められたらと考えています。

採用基準は、互いの幸せを最大化できるかどうか

ー 上場のお話も出ていましたが、採用活動も強化されているのでしょうか?

はい。今年はこれまでで最も高い採用目標をもっています。ある程度のスキルやマインドセットがあることは前提としたうえで、弊社の採用で一番重視しているのは「カルチャーフィット」です。「世界縁満」というミッションと「自分らしく輝くためのプラットフォームをつくる」というビジョン、そして3つのバリューにどれだけの共感をもっていただけるかを考えています。

面接で必ずしている質問は、その方自身がどういうビジョンやキャリアプランをもっているのかですね。弊社が進むべき道と、その求職者の方が描かれている道が合致するかどうか、互いを最大化できるかどうかをしっかりと見極めています。幸せな就職の実現は、実は面接時から始まっていると思っています。なので、真剣にお互いのビジョンを語り合い、互いの幸せを最大化できるかどうかを考えています。

ー 今後の展望を教えてください。

「playse.」は最近システムのフルリニューアルをしまして、今後はeラーニングだけにとどまらない、社員教育のシステムとして進化させていきたいという思いがあります。テレワークやオンライン教育は今後も増えていくと思いますが、その一方で「対面」の価値も見直されている状況です。弊社としては「ブレンデッドラーニング」、つまり対面の価値とオンラインの価値を併せ持ったラーニングをつくり、よりよい社員教育を提供することを目指しています。

「派遣のミカタ」も大幅なアップデートを考えている状況です。そして数年以内の上場も目指しており、上場まではこの2つの既存サービスで進めていく計画となっています。またサービス内容はあくまで構想段階ですが、上場後にはサービスアップデートも計画しており、現在はプロダクトチームの組織構築をしている状況です。その先の展望としては、ESG投資で判断要素の1つになっている人的資本のサポートがありますね。

ー 最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

弊社のアピールポイントは、社員を大切にし、手厚くフォローをする点だと考えています。先ほどもお話した通り、入口は面接です。そして弊社は出口まで手を離さず、「人に寄り添う、心に寄り添う、真剣に寄り添う」ことをテーマとしています。あと、弊社ではオンボーディングの一環としてセルフカウンセリングのような場を設けています。

個人のミッション、ビジョン、バリューはなかなか言語化しにくいと思うんですね。それをティーチャーが一緒に明確化していきます。その個人のミッション、ビジョン、バリューも叶えていくにはどうしたらよいかをともに考えていく、これも他社にはないmanebiのいいところかなと思っています。まずはお話をするだけでもいいので、ご興味をもっていただけたら嬉しいですね。

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