転職、就活におけるキャリア選択のポイント
更新日:2024年9月26日
転職、就活におけるキャリア選択のポイント
転職先を探す際に「自分の好きなことを仕事にしたい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、好きなことだけを基準にした転職は、転職後の理想と現実にギャップを感じてしまうこともあります。では、自身のキャリアをどのように選択していけば良いのでしょうか。今回は、第二新卒、既卒のための就業支援サービス事業をおこなう、株式会社UZUZの専務取締役 川畑翔太郎さんにお話を伺いました。
第二新卒、既卒のための就業支援サービス「UZUZ」
ー まずは事業の概要を教えてください。
弊社は、2012年2月22日に創業しております。現在の主要事業は、第二新卒、既卒の求職者にフォーカスした就業支援、人材紹介事業ですね。新卒ではなく、第二新卒や既卒、フリーターの方といった、就職のハードルが高い層に特化して、就業支援をおこなっています。最近では、新卒の方向けにもYouTubeなどでキャリアや就活関連情報を公開するなどの間接的な就業支援はありますが、直接的な就業支援は第二新卒、既卒の方に絞っています。
ー UZUZが第二新卒、既卒の方にフォーカスする理由はなんでしょうか?
もともと創業時のメンバーである、私を含めた3人が第二新卒だったというのがありますね。最初の創業者が、新卒でベンチャー企業に入社したものの、パワハラで短期離職をした経験があります。短期離職する前、新卒の頃はたくさん内定をもらえたのに、1年未満で辞めたら、どこからも内定がもらえない。
当時リーマンショックがあったという背景もありますが、新卒じゃないだけで、こんなにも状況が変わるんだという経験がきっかけですね。第二新卒、既卒の方は、再就職のハードルが非常に高いんじゃないか、というところからスタートしています。当時、そういった人材事業にビジネスチャンスがあるのか、ないのかはわかりませんでした。リーマンショックもあり、不況で人材産業も停滞気味だったと思います。
一方で、ニーズとしてはある、今後伸びていく可能性はゼロではないと感じていました。多くの人材サービス会社は、新卒に向けてつくられていますが、我々は、自分自身の経験から「そこ(新卒)じゃないよね」ということで。サポートが必要な人に対して、就業支援をするというコンセプトでUZUZを立ち上げました。
若い人たちが社会にでて理不尽な思いをしないための「就職支援」を
ー 川畑さんご自身も大手住宅設備メーカーからのベンチャー転職ということで、思い切ったキャリアチェンジだったのかなと思いますが、なぜ転職したのでしょうか?
そうですね。私の場合は怒りに近い感情からスタートしている部分もあります。もともと新卒で住宅設備メーカーに就職したのですが、会社の都合で好きなように人事異動をされたりするのが当たり前の環境に違和感を持っていて。
転職をきめた当時、私は25歳でしたが、自分の人生が大きな社会システムに、邪魔されるというかそんな印象を持っていました。既得権益とか年上の人たちが、もう盤石な状態で待ち構えていて、若手は好きなように人事異動されちゃったりとか、1回レールから外れただけで不要品みたいな扱われ方をしたりとか。
創業から10年経ちますが、同じ問題がどんどん大きくなっているように感じます。私自身、いろいろな経験を積んで見える景色は変わりましたが、結局問題は同じなんだなと感じます。先行者優位というか、先に生まれた人たちが自分たちに有利なシステムをつくり上げていて、そこにほぼ無知でテクニックもない若い人たちがなだれ込んでいって好き放題されちゃう、その構造自体は何も変わらないのだなと。
ー なるほど、ありがとうございます。そういった若い人たちが社会にでて理不尽な思いをしないための、就職支援という意味合いが強いのでしょうか。
そうですね。若い人たちには「自分の頭で考えて。結局自分の身は自分でしか守れないからね」というのを伝えるようにしています。誰かのつくったレールに一度乗ってしまったら大変だよ、と。みんなレールから落ちないようにしていると思いますが、そもそもそのレールって何のために乗ってるの?って。意図的にレールから外れたり、自分のレールを作ったりとか、どうやったら自分が搾取されずに、自分の人生の選択権みたいなものを持てるのか。そういったことを意識してほしいと伝えています。
転職、就活の際に意識すべきは「どうやって楽しむか」という考え方
ー 若い求職者ともたくさん接点があると思いますが、今の求職者に共通点はありますか?
コロナの直前は、完全に売り手市場でした。リーマンショックで採用を控えていた多くの企業では、団塊世代がどんどん抜け始めていて、2010年代後半には新卒の価値がどんどん上がっていきました。そのあたりでは、新卒の就活生側も就職先を選べるような状態で。企業とか組織に依存せずに自分の手で稼ぎたい、もっと稼ぎたい、みたいな意欲的な人たちが増えたように感じます。そういったところに、ここ2〜3年はコロナで水かけられたような感じですね。不景気だし仕事ないし、そんなこと言っていられない。とりあえず就職だ、と。
とはいえ、企業はやはり人が足りていません。全体的には不景気なのに、売り手市場に戻ってきた。もしかしたら、今がちょうど良いバランスなのかもしれません。そういった背景もあり、長期的な視点でキャリアを考える人が増えましたね。単に今やりたいことをやるとかではなく、10年後20年後30年後を見据えて、一体どの職を選べば自分の生活を守れるのかとか。現実的な選び方をする人が増えた印象です。悪い意味で言うとネガティブに先をみている人が増えました。先行き不安だから、どこだったら安全ですか、という職の探し方をしていますね。
ー そういった方に対して、キャリア選択のアドバイスはありますか?
最近は、どうしても「やりたいことを仕事にすべき」という風潮がすごく強かったと思っています。もちろん、やりたいことを仕事にする、選ぶのも良いと思いますが、結局選んだ後に、思った通り好きな仕事だったという人ってあまり多くなくて。どちらかというと、仕事をやりながら好きになっていくとか、やりながら「どうやったら楽しめるんだろう」って考えられることのほうが大事だと思っています。
仕事を選んだ段階では、何を選んでもあんまり変わらなくて。選んだ後に好きになれるとか楽しめる人たちが、いきいき働いているのだと思います。もう1つは、仕事って遊びじゃないよねと。仕事を遊びのように楽しいものだと思っている人も結構多いのですが、少し違うと思っています。仕事って「生活のためにやるもの」である側面はなくならなくて、そのための生活費をきっちり稼ぐというのが第一の機能だと思っています。
楽しいことを仕事にと思って選ぶ人は、全然仕事としてのニーズがないものを選んでしまって、何年後かに「あれ?この仕事ってこのままで大丈夫かな」と不安になったりします。好きだと思って始めたら、仕事としては好きじゃなかったということも圧倒的に多いので。だったらその選び方破綻してない?と。この2つのメッセージを就職活動の意識するポイントとしてお伝えしています。
採用市場でニーズの高いIT人材を育成する「ウズウズカレッジ」
ー 就業支援の他にはどんなことをやっているのでしょうか?
弊社は人材紹介事業からスタートしましたが、IT分野の就業先がとても多く、IT人材の将来性も感じていました。そこから、IT分野への就業マッチングの精度や、クオリティを上げるために何ができるかを考えたときに、ただの就業支援じゃなく、そこに教育という付加価値をつけたうえで人材紹介をしていく、ということで「ウズウズカレッジ」というITスクールを立ち上げました。
会社としては人材紹介事業とITスクール事業の2つが主体になっています。人材紹介をやるうえで、自社で人を集めているので、マーケティングのノウハウが蓄積されていて、マーケティングや採用コンサルといった事業も展開しています。
ー ウズウズカレッジではどのようなことが学べるのでしょうか?
ウズウズカレッジで、今注力しているものを1つ絞るとしたらデジタル領域ですね。IT、DX領域は一番ニーズがありますし、今後の伸び代も大きいと思っています。この領域は平均年収も高いです。 介護福祉や医療も、将来的にさらにニーズが伸びていく、需要が伸びそうなものではありますが、誰でも目指せるか、年収が安定しているかというと、そうでもない。しっかりニーズがあって、今後も伸びがあり、専門性が身につき、さらに年収も上がる、と条件を絞っていくとIT・デジタル領域に自然と行き着きました。
国からもIT人材の育成に多額の予算が投下されています。税金で徴収されたお金がどこに振り分けられるかと言うとDXとかデジタル教育、リスキリングとかなんですね。若い世代にそれらをしっかりと還元したい、という気持ちもあって、ウズウズカレッジでは、IT、DX 領域の就職やキャリアに直結するものを中心に教育コンテンツを作っています。 学ぶ内容としては、プログラミング、ネットワーク、サーバー分野など。プログラミングに関しては、最も就職ニーズがあって、汎用性も高い(つぶしが効く)「Java」に絞ったコースカリキュラムにしています。人材紹介をやっていたからこそ採用企業側のニーズがわかっているので、一見地味ですが、ちゃんと就職につながるコースから始めています。
コンセプトとしては、就職転職、キャリアアップに繋がらないコースはやらない、です。 入口よりも出口に重きをおいたコース設計なので、世間一般的にある「フリーランスでプログラミングができるようになったらどこででも働けます」みたいなメッセージは打ち出さないようにしています。実はそういう勉強をしても就職できないことが多いです。大学みたいに「人気がある学部学科だからやります」じゃなくて、人気ないかもしれないけどちゃんと出口があるところから準備していったら今の形になりました。
社内ポイント制度「ウズポ」を使ったファンディング
ー 株式会社UZUZの社内のことについても教えてください。社内制度でユニークな取り組みはありますか?
柔軟なリモートワークや教育制度など、いろいろありますが、社内で使える「ウズポ」というポイント制度はユニークだと思います。歓迎会や達成会など、社員同士のコミュニケーションが深まるイベントの経費をポイントで支払うことができる制度です。
ー 「ウズポ」はどうやって貯めるのですか?
1つは MVPとか社内表彰です。表彰されると、個人や部門、チームにポイントが付与されます。チームで目標達成した場合は、チームメンバー全員に付与されたり、あと誕生日でも付与されますね。もう1つは「サンクスウズポ」といって、社員間で感謝を伝え合うと貯まります。感謝をした側、された側の両方に0.1ポイントずつ付与されます。1ウズポ1000円なので、感謝しただけで100円がお互いに貯まります(笑)。
ウズポを使った社内ファンディングをしたこともあります。以前、 YouTubeチャンネルを立ち上げる際に必要な機材があったので、ウズポファンディングで必要経費を集めました。「こういった企画でウズポ集めたいんだけど」とアナウンスして、特典もつけて。そうやって始まったYouTube チャンネルが、今では1つの事業の柱になっています。2チャンネル合わせて登録者数が8万人ほどの規模になりました。
ー 採用についても教えてください。今、積極的に採用している職種はありますか?
今、積極的に採用しているのは、求職者向けのキャリアカウンセラーと、法人向けのリクルーティングアドバイザーです。弊社は、基本的に、第二新卒・既卒の人しか採用していません。若者のキャリアに興味がある方、自分自身がキャリアについて深く悩み、考えた経験がある方、なんかが合うのかなと思っています。
やはり支援対象の方々が第二新卒や既卒なので、ピカピカの経歴の方にアドバイスされても、あまり刺さらない。だから、同じような経歴のメンバーを採用しています。支援する側も、何かしら自身のキャリアで悩んだり躓いたりした経験があるほうが親近感を持って、お互い対等にサポートできると思っています。
そのほか、積極採用中なのはITエンジニアです。子会社にはなりますが、ITエンジニアの派遣サービス事業もおこなっています。いわゆるSESです。そちらの採用は毎月5から10名ずつくらいを目標に採用しています。
ー 最後に読者へのメッセージをお願いします。
弊社は、若い人がウズウズ働けるような世の中を目指しています。私たち自身が若い世代にツケを回さないためにも、自分でちゃんとキャリアを選択して、より良いキャリアを作り上げられる人を増やす支援を今後も続けていきます。就職活動、転職活動をしている方はぜひ、UZUZをご利用ください。
ITを勉強したい方も、ITエンジニアとしてもっといい働き方、キャリアを手に入れたい方への支援もおこなっています。ご興味がありましたら、ぜひコーポレートサイトをのぞいてみてください。