スペースマーケットが考える働き方の多様性とは
更新日:2024年9月26日
スペースマーケットが考える働き方の多様性とは
「柔軟な働き方」と聞くと勤務地や時間の制限がなく、自由度の高い働き方をイメージする方が多いのではないでしょうか。コロナ禍によって多様な働き方の拡充が加速した近年、多くの企業が「柔軟な働き方ができること」をアピールしています。副業を解禁する企業も増えてきました。一方で、本当に働き手が求めることは、多様な働き方を周りが許容する、お互いの事情に配慮するカルチャーなのかもしれません。今回は「多様性を尊重した働き方」を掲げる、株式会社スペースマーケットのPX&Culture担当、倉橋愛里さんにお話を伺いました。
誰でも簡単にスペースを貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」
ー 株式会社スペースマーケットの会社概要について教えてください。
弊社のメイン事業は、あらゆる場所を誰でも簡単に貸し借りできるスペースシェアのプラットフォーム「スペースマーケット」を運営しています。2014年4月にサービスを開始してもうすぐ9年目となりますが、今年2022年には新たに「場所のチカラで あなたにエール」というタグラインを掲げ、多様なチャレンジを応援する取り組みも行っています。人が何かする時には、場所が必要となることは多いです。「スペースシェアをあたりまえの選択肢にすることで、多様なチャレンジを生み出し、世の中を面白くしていきたい」という想いで事業を運営しています。
ー スペースマーケットはどのようなサービスか詳しく教えてください。
スペースマーケットは、あらゆるスペースを15分単位で貸し借りできるスペースシェアのプラットフォームです。サービスを立ち上げた当初は、いつものオフィスとは違った場所で会議をするオフサイトミーティングや社内イベントでの利用が主な使い方になると考えて、古民家での経営会議や、お寺での社員総会などを打ち出していました。
実際には、想像以上に個人の方から大きな反響がありました。個人の方ですと、趣味の集まりや、パーティ利用が多いですね。また最近では、オンラインの面接やテレワークに使われる方、YouTubeやTikTokの撮影で利用される方も個人法人共に増えています。一般的な撮影スタジオでは、設備は揃っているものの費用が高かったりするのですが、スペースマーケットでは、多様なジャンルのスペースが安価に、短時間から気軽に借りられる点が反響に繋がっていると思っています。
物件のオーナー様、貸し出す側を弊社では「ホスト」と呼んでいますが、このホスト側にも、長期の賃貸では借り手が見つかりにくかったような物件をレンタルスペースとして貸し出すことで、有効活用いただいています。首都圏のスペースを中心にサービスは拡大しており、今では47都道府県すべてに掲載スペースがあります。大阪、愛知、福岡など大都市圏を中心に利用が増加しています。
ー スペースシェアに着目したきっかけは何だったのでしょうか?
創業者である代表取締役社長の重松が前職で、営業時に平日は全く使われていなかった結婚式場を見て「もったいない」と感じたことが、事業が生まれるきっかけとなりました。そこから派生して週末の企業の会議室や営業時間外の店舗などをもっと簡単に貸し借りできたら、双方にメリットがあるのではないか、という発想で立ち上げたサービスです。
日本の社会課題にもなっている空き家や廃校も、古民家で結婚式や廃校でのロケ撮影など新しい利用価値を生み出し、収益化を実現しています。いろいろなシェアリングエコノミーサービスが生まれる中で、スペースをシェアするという考え方を、もっと広げていければと思っています。
イベントプロデュースやプロモーションも手掛け、スペースシェアの文化を創造へ
ー イベントプロデュースなども行われているのですか?
カンファレンスや社員総会など、イベントを開催したい企業に対して、場所の提案だけでなく、企画・運営までを一緒に行うチームもあります。最近ではオンラインカンファレンスやウェビナーなどのオーダーも多く、オンラインのみからハイブリッド開催まで幅広いですね。また、弊社のスペースを借りているゲストに対して、新商品をサンプリングしたり、体験いただいたりする体験型プロモーション支援も行っています。
スペースシェアをまだ使ったことが無い方にも使ってみたいと思っていただけるように、プラットフォーム上でもさまざまな利用用途の提案を行っています。例えば、「インドア花見®」。レンタルスペース内に桜を飾り、室内でのんびりお花見をしようという企画です。外でのお花見をやりたいけど、場所取りが大変だったり、寒かったり、トイレ行列が困ったりして難しい…といった方々に好評で、春の定番となってきています。他にもハロウィンやクリスマスなど季節のイベントに合わせてスペースの装飾を変えるなど、スペースのホストの方々と連携して、さまざまな企画を実施しています。
ー シェアリングエコノミーという考え方は、ここ数年で拡がってきたように感じます。
そうですね。弊社は2015年にシェアリングエコノミー協会の立ち上げにも参画し、シェアリングエコノミーの業界そのものを成長させるための活動も行っています。シェアリングエコノミーという考え方は、新しいものなので、まだまだ規制や法改正が追いついていない部分もあります。
あらゆるシェアリングサービスの事業者が集まって、国と一緒になって仕組みを整えたり、制度を提案したりといった活動を続けることで、安心安全なシェアリングサービスの普及を推進できればと思っています。
事業においても働き方においても重要なのは「多様性」
ー 事業も大きく成長されているタイミングかと思います。働き方に関する取り組みがあれば教えてください。
今、70名ほどの社員(2022年4月現在)が在籍しています。弊社では、社員の事情に合わせた働き方ができる、ということを大切にしていますね。コロナ禍によってリモートワークが普及する前から、エンジニアがリモートワークを導入していたりとか、フレックスで働く時間を自由に調整できたりということは当たり前にやっていました。コロナ禍になってからは週1出社を基本として、そのほかは自由に選べるようにしています。出社の頻度や時間を自由にしているからこそ、コミュニケーションの取りやすい環境の整備には注力しています。
最近、移転をきっかけにオフィスの仕組みを大きく変えました。手狭だった以前のオフィスと比べて、床面積は大きくなったのですが席数は増やさず、約70名の社員に対して執務室の席数は30席ほどにしています。そして、執務室と同程度の大きさのキッチン付きのカフェのような雰囲気のラウンジを作りました。出社の頻度が減っている分、たまの顔を合わせる機会には気軽なコミュニケーションを促進する場として活用しています。キッチンでは毎日お昼ご飯を作っているメンバーもいれば、お米を炊いて「食べたい人はどうぞ」とシェアしているメンバーもいます。
ー 社員の皆さんの素敵な関係性が伺えるエピソードですね。続いて、福利厚生や休暇制度の充実度、副業に関する制度について教えてください。
弊社は「家族を大切にしよう」という重松の考え方が社内にもしっかり浸透していると思います。重松自身が3人の子育て中で、会社で「ちゃんと習いごとに行きなさいよ」とお子さんに電話をしている会話が聞こえてくることもあるくらいです。そういった雰囲気が土台としてあるので、子育てしている、していないに関わらず、個人の事情を尊重する文化があります。「自分の生活スタイルに合わせて働ける」という点は、社内でも評価をもらえているように感じますね。
直近ですと、「コロナの感染拡大によって、子どもの保育園が急遽休園になってしまって困っている」という社内の声から、すぐに特別有給制度を使えるようにしたことも好評でした。副業も申請をすればOKとしています。週末に知人の会社を手伝っていたり、スキルシェアのプラットフォームを活用して得意を活かした活動をしたりと、副業の内容はさまざまです。
ー 副業を認めたことで、なにか社内に変化はありましたか?
副業については、どこかで新しく制度を作ったわけではなく、創業当初から選択肢のひとつとしています。起業をしている社員もいますね。また、週1日や週2日からスペースマーケットに関わり始め、その後、正社員としてジョインした社員もいます。
弊社の考え方としては、副業はあくまでも多様な働き方の中のひとつの選択肢です。副業が合う、合わないもその人のタイプによって異なります。副業をすることでより活き活きと働けるのであれば、応援したいと考えています。
ー 最後に読者に向けたメッセージがあればお願いします。
今後は、今以上に多様性に対する受容が当たり前になってくると考えています。自社事業においてはもちろんですが、会社としても多様性を大切にしていきたいと思っています。サスティナビリティという観点で社員同士でも会話をしたりしますが、世の中の課題やニーズに柔軟に対応できる組織であるよう、今後もしっかりと取り組んでいきたいですね。
弊社の考え方やサービスに共感いただける方、世の中を面白く変えてみたいという気持ちをお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひお待ちしています。