観光バス運転手

学歴は不問だが、就業には大型第二種自動車運転免許が必要となる。大型第二種自動車運転免許受験資格は所定の免許を取得し、その当該免許の運転経験が通算３年以上であることなどが条件となっている。そのため、ほとんどが中途採用であり、路線バス運転手、トラック運転手、タクシー運転手といった運転を職業とする人からの転職者が多い。

採用されると約1カ月間の新人研修を受ける。訓練を受けた後、バスを運転しコースを回る。この間に道路事情やコースについて学習し、観光バス運転手の基本的な作業を実地に学ぶ。最初は短時間で簡単なコースを運転する。経験を積むにつれて、山道や狭い道、高速道路を長時間走る難しいコースを担当する。どんな状況下でも安全運転を行うことができる運転技術と注意力、目と手足の正確で敏速な共応、長時間の運転に耐えられる体力が求められる。また、長時間、乗客と接する仕事なので礼儀正しさなども重要となる。バスが故障した場合、簡単なものは自分で修理しなければならないこともあり、車の構造や機能に対する知識も必要となる。

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード

名所旧跡や観光施設を巡る定期観光バスや、修学旅行やツアーなどの団体旅行で使用する貸切観光バスを運転する。貸切観光バスの場合は通常、乗車予定の3日前に担当業務が決定するので、運行予定に基づいて道路の渋滞状況などの情報を集めて出発に備える。当日は、バスの始業点検を行い、経由地、発着時刻、宿泊場所などについて、バスガイドが同乗する場合はバスガイドとともに、運行管理者から詳しい指示を受ける。

集合したお客をバスに乗せ、添乗員やバスガイドと打ち合わせて目的地に向かう。交通渋滞や不測の事態などで、必ずしも予定の走行ができない場合もあるが、おおむね指示されたスケジュール通りに観光地、食事や休憩場所を回れるように発着時刻に留意して運転する。予定のコースを終えて乗客を降ろしたら、営業所に戻って走行状況、走行距離などの運行記録を運行管理者に提出し、終業点呼を受ける。
安全運転を心がけ、車内の雰囲気にも気を配って、楽しい旅行を演出することも重要となる。

◇　よく使う道具、機材、情報技術等
　バス

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード

観光バスを運行するバス会社、鉄道会社の子会社などに雇用される。勤務時間や勤務形態は、運転するコースによって異なる。勤務時間は平均すると1日8時間程度だが、乗務時間は5時間から6時間で、点検や点呼などを含めた実労働時間は7時間程度が一般的となっている。長時間・長距離の運転になる場合、交代運転手の配置が義務付けられており、安全への配慮がなされている。

コースによっては早朝勤務や深夜勤務、宿泊もある。貸切バス利用が増える土日祝日には出勤することが多い。賃金は月給制が多いが、様々な手当の割合が大きいのが特徴となっている。
最近では、外国人旅行者にも個人旅行が広がり一時期ほどの観光バス利用者は見られなくなったものの、需要は根強く見られ、業界団体が多言語での案内、Wi-Fiの整備等に取り組んでいる。そして、全国的には観光バスの運転手が大幅に不足し、外国人旅行者に対応する観光バスの運行本数を確保できない状況にあることから、今後も観光バス運転手の需要は強いとみられる。また、繁忙期や閑散期の差を活用してドライバーを融通するなど、人手不足の中で輸送力強化、サービス改善に向けた取組を行っている会社もある。

• 出典：独立行政法人労働政策研究・研修機構（JILPT）作成「職業情報データベース　解説系ダウンロードデータver.3.00」職業情報提供サイト（日本版O-NET）より2022年7月5日にダウンロード