産休に入った社員の仕事分担にて。

Question

産休に入った社員の仕事分担にて。正社員の20代女性です。
先日職場の先輩が産休に入りました。
補充要員はなしで、その人の仕事が私たちにあてられました。
その分仕事がプラスアルファとなり、追加で残業毎日2時間程度となりました。
しかし会社に言っても、残業代は基本給に含まれているから上乗せはないと言われています。
具体的にいくら上乗せされているか教えてもらえません。
補充はないのかと聞いても、余裕がないのでなしだそうです。
最初は仕方ないと思っていましたが、だんだんと負担になり、転職しようかと考えはじめました。
会社の対応は違法でしょうか？

Answer 1

「残業代は基本給に含まれているから上乗せはないと言われています。」
給与明細を確認してください。
残業代が、基本給の内、いくらになっているか、判別できるようになっているでしょうか。
例えば、基本給20万円として、
そのうち5万円が残業代＝法定労働時間を超える労働時間分だと明記されている等、されているでしょうか。
判別できるようになっていないと、労基法37条（割増賃金の条文）違反になります。

給与明細上で判別できず
「具体的にいくら上乗せされているか教えてもらえません。」
ということですと、法違反の可能性があります。

また、その月の実際の残業時間数を、会社は把握しているでしょうか。
質問したら、会社は答えられるでしょうか。
タイムカードなど、確認できる記録はあるのでしょうか。
実際の残業時間数に応じた額以上の割増賃金の支払いがされていなければ、未払賃金となり、法違反になります。
そして、未払賃金については、会社に支払を求めることができます。

給与明細を見ても良くわからない、ということなら、次の書類
１）労働条件が書かれた書類（求人票、労働条件通知書、雇用契約書など）
２）労働時間の記録（タイムカード、出勤簿、シフト表などのコピー、画像）
３）給与明細
４）労働条件に関する会社からの通知や掲示物の画像 など
上記の文書で手元にあるものは、すべて持って、
１）行政機関（労基署・労働局の総合労働相談コーナー）
２）弁護士の無料相談（労働弁護団、法テラス）
３）労働組合の無料労働相談
へ行き、法違反があるか確認してもらいましょう。

法違反が明らかになったあとの対応まで考慮に入れると、３）労働組合の無料労働相談が良いと思います。
労働組合が、なぜ会社との交渉において有効なのか、につきましては、次の弁護士の方が書いた記事をお読みください。
https://www.bengo4.com/c_5/n_14337/

労働組合は、現在の日本では、大企業の社内労働組合しか、ほとんど聞く機会がありません。
しかし、大企業の社内労働組合の外にも、会社の外部にある、個人＝一人でも加入できる個人加盟の労働組合があります。
この労働組合（労組と略称することもあります）は、合同労組と言われるもので、名称としては、地域労組、コミュニティ・ユニオン（ユニオンは英語のLavor union、あるいは、Trade unionのunionで、やはり労働組合を意味します）、一般労組などと称しています。
これらの合同労組は、大企業に属していない労働者であっても、労働者が本来持っている労働基本権を実現させるために有効な手段となっています。

労働組合に加入して会社と交渉する場合のメリットですが
１．労働者が自らの身を守りながら、会社と交渉できる。
労働組合員になったことや、交渉を始めたことで、会社から、何らかの不利益になること、例えば解雇、をされた場合、労働委員会という公的機関に救済を求めて、それをやめさせることができます。
２．会社は、労組との交渉を、原則的に、拒否できない。
労働者個人で会社と交渉しようとしても、会社がまともに取り合わないことが多いですが、労働組合として交渉するなら、会社はこれを拒否できず、誠実に交渉に臨むことが法的に求められます。

お住いの地域に、個人加盟の労組は複数あると思います。それぞれについて情報を集め、相性の良い、頼りになると思える労組に、一度相談されると良いと思います。
相談については、ほとんどの労働組合は、無料にしています。
相談すれば、労組として取り組める問題か判断し、会社に対してどのような対応ができるか具体的なアドバイスをもらえると思います。