監査法人の仕事はオススメですか？ 公認会計士の仕事に興味があります。監査法人での勤務の魅力はどのような部分にあると思い…

Question

監査法人の仕事はオススメですか？

公認会計士の仕事に興味があります。監査法人での勤務の魅力はどのような部分にあると思いますか？

私は法律と会計の知識が活かせて、さまざまな会社のビジネスに触れられることが魅力だと考えています。

未経験で20代中盤で入ると年収は残業代込みでどれくらいになりますか？

実際にご経験がある方に是非ご回答お願いできましたら幸いです。

Answer 1

こんにちは。大手監査法人に勤める会計士です。

監査法人の仕事の魅力は人によって違うと思います。
例えば次のようなことが例としてあげられるのかなと思います。

① 上場企業の財務諸表に対する責任
会計士の監査意見の社会的な信用力は絶大です。意見が出なかったりした場合には会社が上場廃止、もしくは最悪の場合には倒産したりします。資本市場を統治するという重責の一端を担っているという意識を持つことを誇りに思うなど、社会的な使命を志すような人には魅力的な仕事だと思います。

② 様々な会社に出入りできること
監査のクライアントは多種多様です。監査法人によっては部署によって監査する業界を定めているところもありますが、そうでないところに入所すれば様々な企業に出入りしてそのカルチャーの違いや経営方針の違いを客観的な視点から観察して学ぶことができます。私はメーカー、製薬、エンターテイメント、IT、金融などなど、かれこれ５０社以上に出入りしてきました。上場企業の社長さんにインタビューとかもしました。

③ グローバリズム
今や日本の企業は世界中に進出しています。よって、日本の会社を監査するのにも英語は欠かせません。海外とのやり取りは増えて、様々な国に行くチャンスがあります。私は様々な国に出張してきました。ただ、こういう経験をするためには英語が必須です。僕は会社に入ったときには全く話せませんでしたが、３年くらいかけて勉強しました。

④ コンサルティング
監査法人の仕事は現在では多様化しています。監査だけではやっていけません。よって、コンサルティングの業務が増えてきています。コンサルティングといっても、戦略系のような仕事ではなく、財務・会計・ガバナンスなどのコンサルティングがメインです。例えば、財務ではM&Aの企業価値算定や買収前のデューデリジェンス、会計では財務諸表のコンバージェンス（日本の基準で作成された財務諸表を国際会計基準（IFRS）などの基準に作り替えること）や連結財務諸表の作成支援、ガバナンスでは内部監査やリスク管理手法の構築などが私が経験してきたことです。正直に言えば、監査法人はコンサルティングファームを子会社として持っている場合はほとんどで、そういう会社と一緒に事業再生などの仕事もちょっとだけやったことがありますが、お手伝い程度です。

⑤ ワークライフバランス
どういう仕事をするかにもよりますが、人によっては暇な時期は定時に帰る、２週間程度の大型休暇を取得するなどのプライベートを楽しむ時間も確保できます。ただし、監査クライアントによっては労働環境が劣悪な所もあるので、自身でどのようにコントロールするかでワークライフバランスは実情が違います。

それくらいが思いつくところです。法律の知識がいかせると考えているということですが、ガバナンス関連の業務だとそういった側面があるかもしれません。私が経験した範囲ですと、金融業界では金融商品取引法や資産流動化法、出資法、銀行法（とにかく一杯あります）、製薬ですと薬事法、リスク管理ですとFCPA（アメリカの法律）などがよく出てきます。海外に会社を設立する際や海外の企業の子会社を設立する場合には会社法の知識はよく出てきます。弁護士の方などとよく一緒に仕事もします。

収入についてですが、監査法人の給与は年齢に関わらず基本的に入社時は同じです。３０歳などで試験に合格して入ってくる人もいるので、年齢を考慮しているときりがないからだと思います。大体、大手で５００万円前後です。残業など入れても６００万円くらいがせいぜいだと思います。その後、マネージャーと言われる管理職まで６年から８年というところでしょうか（もうちょっとかかる人もいます）。それで１０００万円くらいです。

全体として監査法人というより会計士という職業の最大の魅力は会社にコントロールされるのではなく、自分でキャリアをコントロールできることです。監査に飽きたと思えば部署の転部も簡単ですし（監査法人によるらしいですが。。）、財務からコンサル関連の業界への転職も簡単です。

最後に一般的な優良企業と比較して給与水準は必ずしも高くないので、もし定年まで安定して一つの会社で働きたいという意思をお持ちでしたら監査法人はおススメしません。景気の影響も受けますし、会計士と言えどリストラなども結構あります（同じ給与水準の転職先はすぐ見つかりますが。）。会計士試験に受かっていれば結構な企業に入れると思いますのでそちらに入った方が生涯賃金は高いのではないでしょうか。あくまで、会社からは独立して自分で自分のキャリアを形成するという思想の持ち主に適する職場だと思います。

参考になれば幸いです。