スタッフの社員化など、賃金や労働環境の向上・健全化をうたっている会社も多くなりましたが、その恩恵は主に新人・若手に対して向けられています。 今まで業界横断的に労働環境改善を働きかけたり、新人・若手教育に積極的だったり、或いは実制作に於いて作品を質的に支えている中堅以上のスタッフの多くが、蚊帳の外に置かれている状況です。 平均化すると、 社員や契約スタッフにホワイト労働をさせつつ、非社員や下請けにブラック労働を強いる事で〝品質〟や〝面白さ〟を担保している…という歪な状態が、ここ数年の現状です。 近年、ネットを中心としたメディアでアニメ業界の労働環境が取り沙汰される事が多く、また政府主導の「働き方改革」も影響を与えていますが、これも善し悪し両面です。 新卒採用の賃金待遇・労働条件は軒並み改善されています。 ですが、これは世間向けの分かり易さを狙ったものでしょう。 ベテランの貢献度に見合った待遇改善よりも、20歳代の新人の給料を1万円上げる方が、大袈裟に喜んで貰えてパフォーマンスとして安上がりです。 10年経っても〝新人並み〟の賃金で働いているリスクは、むしろ増大したのではないかと思われます。 売り物になる技術も無いのに人並みの条件を要求する…「アニメ業界版モンスター新人」とでも言うべき人間も出てくるでしょう。 従来だったら日々の仕事の中で淘汰されていた筈の人も、炎上怖さに首を切れず、結果現場運営を圧迫していく…という問題も新たに顕在化すると思われます。 海外資本(何も中国ばかりとは限らない)が中堅・ベテランに好条件を提示して引き抜きを図っている…という話も近年よく聞きます。 既に技術を持っている人に札ビラ切って…という下衆な図式を想像するのは容易ですが、「作品に大きく貢献していながら、正当に報われていなかった人達」に、順当な待遇を提示すれば、腰を上げるのは当たり前です。 資本力にプラスして、技術者に対する〝礼節〟がそこに加わる様になったら、誰も太刀打ち出来ないでしょう。 〝新人・若手中心の社員化〟という方向に舵を切った制作会社は、いずれ新たな問題を抱える事になると思います。 いずれアニメーションという表現そのものを揺るがしかねない問題点に膨れ上がるでしょうね。 一人前の技術を身に付けて、初めて食べて行ける…という従来の職人的働き方を継承する人達が、結局は面白い作品を作り、技術を次の世代に伝えていくのだと予測しています。
物事は論理的に考えると分かり易いと思います。 ※需要と供給の関係:需要が多く供給が少ないと値段は上がります。逆に、需要が少なく供給が多ければ値段は下がります。 それと同じで、アニメーターの技術・能力を持ったアニメーター就職希望者が多く、逆に採用数が少なければ買い叩かれて給料水準は上がらないでしょう。
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