かつて「国鉄スワローズ」と言うプロ野球チームがあったと聞いています。

国鉄と言う事は野球選手も国家公務員だったのでしょうか?

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回答(3件)

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    いくつか誤解がおありのようですが、まず最初に申し上げると、すべてのプロ野球選手(プロサッカー選手等も同じ)は、球団の「職員」「社員」ではなく、球団と年度契約で報酬を受け取る「個人事業主」で、これは当時の国鉄スワローズ在籍の選手も同じです。 プロ球団には「支配下選手枠」というのがあり、一球団が契約できる選手の上限人数(現在は70人)を設けています。球団から不要とされた選手は、容赦なく「戦力外通告」を受けて契約更新を拒否され、他球団で契約できなければプロ選手としての道を断念せざるを得ません。 もし従業員として雇用契約を結んだ普通の社員であれば、労働法上の被雇用の権利が守られます。雇用契約の重大な違反行為等が無い限り、「あなた仕事できないからクビ」と一方的に言われることはありません。選手は個人事業主として一年単位で契約(複数年契約もありますが)する存在なので、翌年の契約が打ち切られることも覚悟しないといけないのです。 一方で個人事業主ですから大きな成果を挙げ続ければ、球団が応じればとんでもなく高い報酬を得ることも可能なわけです。国鉄スワローズの超大エースだった金田正一は、昭和30年代後半、サラリーマンの平均年収が40万円(年収がですよ)だった時代にその50倍の2,000万円の年俸を得ていましたが、身分が球団職員、まして国家公務員であればこういうことは起き得ないでしょう。 なお個人事業主であるプロ野球選手が労働組合を結成しているのを不思議に思うかもしれませんが、「個人事業主」というのは税法上の概念で、労働組合法上は広く労働者の概念に含まれると解釈され、適法性が認められています。 それから、かつての国鉄職員は国家公務員ではなく「公社職員」という身分でした。 国有鉄道が戦前~終戦直後までの国の直轄事業だった当時は職員も国家公務員でしたが、戦後の1949年(昭和24)GHQの指示で日本国政府100%出資で独立採算制の公共企業体(公社)としての「日本国有鉄道」が発足します。国鉄など公社職員には、公務員には認められていない団体交渉権を認める代わり、民間労働者に認められる争議権(いわゆるストライキ権)は認めないという、公務員と民間労働者の中間のような位置付けでした。 公共企業体・日本国有鉄道の解体から35年、「国鉄スワローズ」が消えてからだとすでに57年を経た今の時点で考えると、事実上の国営企業がどうしてプロ球団を持てたのか、本当に不思議に思いますが、実は国鉄球団は国鉄本体が直接の親会社ではなかったのです。 上述の通り1949年(昭和24)に公共企業体として発足した国鉄でしたが、敗戦後の復員兵や海外引揚者の雇用の受け皿となったことで人員が膨れ上がり、9万5千人もの人員整理に着手したため労使関係が極度に悪化、この年有名な国鉄三大ミステリー事件(下山・松川・三鷹各事件)も起きます。 当時の加賀山之雄・初代国鉄総裁は東京鉄道局の野球部長を務めたことのある大の野球好きで、労使間の緊張と混乱が続く国鉄職員の団結と意識高揚を目的に「プロ野球参入」を発案します。 しかし、事実上の国営企業のプロ野球参入など当時としても奇想天外な構想で、当初は加賀山総裁本人を含め、誰も本気で実現するとは考えていませんでした。国鉄の各地の鉄道局野球チームはノンプロの強豪で都市対抗野球の常連であり、野球を愛好する組織風土はあったとは言ってもです。 しかし、時あたかも戦争が終わり、娯楽に飢えていた国民の間で野球人気が沸騰していた時期です。プロ野球への新規参入を希望する企業が増え、新球団の拡大方針を巡って既存球団間の対立が深刻化し、2リーグに分裂しようとしていました。 毎日新聞社が結成する新球団を担いで多くの在阪私鉄球団がパ・リーグを結成してしまったため、これに対立していた読売新聞社=巨人主導の数球団も対抗上セ・リーグを結成せざるを得なくなります。しかしセ・リーグは興行に必要なチーム数の確保に苦心し、核となる親会社が無く財務状態に不安の大きかった新市民球団・広島カープにさえ参入を認めてしまう有様でした。 そしてセ・リーグは加賀山国鉄総裁がプロ球団を持ちたいと希望(というよりほとんど夢想)しているとの話を聞きつけ、全国的な巨大組織国鉄をバックにする新球団が参入してくれるなら心強いと、読売新聞社社主・正力松太郎ら有力者が新球団結成を熱心に支援します。 こうして、ほとんど冗談と思われていた国鉄球団のセ・リーグ参加が実現してしまいました。 しかし当時の日本国有鉄道法では、法をどう拡大解釈しても、国鉄本体が副業としてプロ球団を経営することは不可能でした。日本国有鉄道法では、国鉄は運輸業以外の事業を原則禁止していて、他の私鉄のように不動産業を副業にすることもできませんでしたし、今のJRのように「駅ナカ」に大々的に商業施設を作りテナント収入を得ることもできません。キヨスク等の売店や駅弁・駅ソバなどは旅行者の最低限の便宜を図るためという名目で許容されていただけです。まして、プロ野球球団の経営なんぞが国鉄の副業(子会社)として認められるはずがありませんでした。 このため「交通新聞」を発行していた㈶交通協力会が中心となり、㈶鉄道弘済会(キヨスク経営など)・㈶日本交通公社(現JTBの母体ですが当時は国鉄傘下の小団体でした)など、国鉄が出資する外郭団体が出資して設立されたのが、「株式会社国鉄球団」です。日本通運㈱など、国鉄と密接な関係にあった一部の外部企業も出資していますが少数株主でした。 なお国鉄球団に出資した外郭団体は非営利組織の財団法人でしたが、「非営利」というのは利益の分配(株主への配当)が禁止されているという意味であって、収益事業を行なってはならないということではありません。出資条件に制約はありましたが財団法人が株式会社に出資すること自体は問題がありませんでした。 球団は国鉄本体の経営でも、その子会社による経営でもなく、あくまで(出資こそしていますが)外部の関連団体による経営でした。 球団の主たる出資者である交通協力会などの外郭団体は、巨大組織国鉄の周縁の、ごく零細な事業者に過ぎません。 一応、実態上は総裁以下の国鉄本体が親会社らしく振る舞い、球団への有形無形の支援もしましたが、当時は黒字経営だった国鉄本体からの金銭的な支援は、「球団後援会への援助金」という名目の間接的な福利厚生費のみで、それも球団存続期間を通じ年間700万円だけでした。現在とは物価水準が違うとは言え、当時も球団維持のためには微々たる金額でしかありません。 他の球団は「親会社の広告塔」として存在していて、親会社の連結決算対象の子会社である球団の赤字は、親会社の広告宣伝費として損金計上できる会計ルールになっていました。テレビ・ラジオや新聞は親会社名である球団名を毎日連呼してくれるのですから、球団が垂れ流す赤字など、他の親会社にとっては広告費と考えれば安いものでした。 しかし国鉄球団は赤字を国鉄本体に補填してもらうこともできず、だから球団経営は常時苦しく、戦力の補強もままなりません。当時は黒字経営の巨大組織・国鉄がバックにいたとはいえ、内実は市民球団・広島カープと同レベルの貧乏球団でした。 有望新人の獲得競争でも、契約金の提示合戦で他球団に必ず負けてしまうのでいい選手が集まらず、だから大エース金田正一を擁していたにもかかわらず常にチーム力は弱体で、Bクラスが定位置でした。 球団の赤字を補填していたのは、「球団後援会からの援助金」です。入場料収入やグッズ販売など球団本来の事業収入とほぼ同額を、毎年後援会からの援助金で賄っていました。 球団後援会組織の中核は、当時約45万人いた国鉄職員です。強制ではなかったとはいえ国鉄職員の相当数が後援会に入っていました。 公共企業体・国鉄の歴史を通じ絶えず政治的対決を続けた当局と労組(国労など)も、唯一スワローズは一緒になって応援できる対象で、球団は「国鉄一家」の結束を確認するかすがいのような存在だったのは間違いありません。 しかし、1962年(昭和37)にフジサンケイグループが将来の球団譲受を前提とした資本参加を行なったあたりから、国鉄(正確にはその外郭団体)は次第に球団経営に消極的になっていきます。 新人選手の契約金は高騰する一方で、貧乏球団国鉄の戦力はジリ貧になっていくことは目に見えていました。この年5月に起きた三河島事故(死者160人)で国鉄は世論の激しい非難にさらされ、呑気に野球などしている場合かと球団にも批判が飛び火します。 国鉄は次第に球団経営への意欲を失い、フジサンケイグループが経営の主導権を握っていきます。 国鉄本体の経営も次第に苦しくなり、東海道新幹線が開業した1964年(昭和39)に発足以来初の赤字に転落、直接経営ではないとはいえ国鉄が万年赤字の球団を維持し続けていることが問題視されるようになり、球団後援会への援助金700万円も打ち切られます。 監督以下の球団人事もフジサンケイグループの意向で決められるようになり、「国鉄スワローズ」の象徴で、やりたい放題のワンマン選手だった金田はフジサンケイ主導のフロントとことごとく対立、1964年オフについに国鉄を退団して巨人に移籍を決めます。金田を失った国鉄は経営意欲を完全に喪失してプロ野球からの撤退を決定し、翌年からチーム名は「サンケイスワローズ」になりました。 以上が、事実上の国営企業が保有していたとされる(実際は国鉄は経営に関与していなかった)、不思議なプロ球団「国鉄スワローズ」の沿革になります。

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  • 球団自体は「株式会社国鉄球団」という会社を日本通運やJTBと協力して作ったものなので、公務員ではないです。

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  • 球団は民間会社では?

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