こんばんは。 臨床心理士として医療現場で活躍されている方にお伺いします。 今私は臨床心理士を目指し大学院への…

Question

こんばんは。

臨床心理士として医療現場で活躍されている方にお伺いします。

今私は臨床心理士を目指し大学院への勉強をしている途中なのですが、既に臨床心理士として働いている方は精神科の医師になろうとは考えなかったのでしょうか。

私なりに色々と調べた結果、クライアントの心のケアのお手伝いをするという点では投薬ができるかどうか、など医師としてのほうができることの幅が広いと思ったからです。また収入面の大差があるのが現実の中、皆様が臨床心理士として働いていて感じるいい所等教えていただきたいです。

心理学に関する書籍（主に自分が研究したいと思う分野）の著者は精神科医と心理学関連の教授、半々くらいでした。それらの著書を読んでいると今まで私が解釈していた、問題の原因、解決方法に向き合って行くのが心理士、症状の治療という面に重点をおくのが医師という解釈も違うのではと感じました。

まだまだこの道を目指し始めて浅く、勉強不足なところがたくさんありますが、心理職をめざすにあたってのアドバイス等ありましたら、是非よろしくお願いします。

Answer 1

まず最初に、質問で何が聞きたいのか、よくわかりません。中盤で書いている部分なのか、一番最後にアドバイスがほしい部分なのか、ぼやけてしまっています。目に見えない分野を扱うがゆえに、心理学の論文では初言で論文定義を行いますが、質問も同じことです。

ちなみに、精神科医になろうとは考えませんでしたねぇ。私は人間の心理現象をより法則定立的に考えることに興味がありましたから、臨床心理学の一理論ではなく、学究だけでなく業務でも心理学全般に関心を向けて仕事をしている（つもり）なので、生まれ変わっても興味の方向性が変わらなければ、精神科医になろうとは考えないと思います。

収入の面で医師と比較する人もよくいますが、異業種と比較して何か意味があるのか……収入が低いからやらないという人ばかりであれば、福祉・介護業界は全滅です。それに、いわば公共料金で決められている医療と福祉の分野は、国制度によって待遇が大きく異なります。理学療法士もかつて１千万円台の年収がありましたがいまは普通の賃金です。看護師は人数によって加算がつくため不足しがちなので金銭面・福利厚生面での待遇が一昔前とは比較にならない。臨床心理士が必置資格になるかどうかはわかりませんが（まあ無理でしょうが）、単純に医師と比較するのは意味がありません。

＞クライアントの心のケアのお手伝いをするという点では投薬ができるかどうか、など医師としてのほうができることの幅が広いと思ったからです。

あなたがクライアントの心のケアといっている行為に関して、心のケア＝精神科、心のケアが必要な状態＝精神科適応の病理、と考えているのであれば、その考え方で筋が通ります。逆にいえば、医師以外ありません。なぜならば、多くの場合投薬が必須であって、それは医行為にあたります。医行為は医師にのみ許されている業務独占行為です。

その意味であれば、臨床心理士になっても意味がありません。精神科医を目指すべきです。特に、治療という行為の中でイニシアティブを発揮したいという欲求が強い場合、臨床心理士だとフラストレーションがたまるかもしれません。そういう仕事ではないからです。

心のケアという領域は、私は臨床心理会や認定協会のようには考えていませんので、少し参考にはならないかもしれません。つまり、心の領域は、医師（精神科医に限らない）、臨床心理士、看護師、ソーシャルワーカー、PTなどパラメディカル、家族、国、地域、医療事務、宗教家、本、教師、友人、何よりも本人が関係する学際領域であって、臨床心理士＝心のケアの専門家ではない、という認知科学的な考え方です。臨床心理士はその領域に心理学の立場からアプローチしているにすぎない。心理士は心理学の専門家です。

医療であってもそれくらい広いのですから、他の領域にまでカバーしていこうとまがりなりにも主張している臨床心理士の扱う領域は膨大です。「精神科に限って言えば」精神科医と臨床心理士の違いは、そんなに大きくないように見えるかもしれません。しかしより臨床心理士が取り扱おうとしている問題を心理学的に考えてみれば、精神医学とは立場が全く異なることにお気づきになるでしょう。

重なる部分はどんな職業にもありますが、やりたいこと、専門の方向性が大きく異なります。あなたが求めるものが何なのかによって、臨床心理士がいいのか、医師を目指すのがいいのか、いやいやそんなもん目指してる場合じゃないのか、変わってくると思いますよ。