れと貸倒引当金の処理は、初級簿記で取り上げられる事項である。 しかし、学習者に理解しやすいよう説明を2段階に分けるのが普通である。 第1段階は、貸倒引当金が設定されていない場合であり、たとえば得意先のA商店が倒産して同店に対する売掛金6,500円が回収不能になったとすれば、次のように処理する(後の説明の便宜上この仕訳を①とする。以下同じ)。 ①(借)貸倒損失 6,500 (貸) 売掛金 6,500 (注) 借方科目は「貸倒償却」としてもよい。 このように説明した後、第2段階で貸倒引当金の設定による処理法を次のように説明する。 企業が営業活動を行っていく上で、ある程度の貸倒れが生じることは避けられないので、決算に際し、あらかじめ貸倒れを見積り、損失を計上する。しかし、まだ現実に貸倒れは生じていないのであるから、売上債権を直接へらすことはできない。そこで貸倒引当金という勘定を用いる。たとえば期末の売掛金残高が750,000円あり、その2%の貸倒れを見積もったとすれば、次のようになる(借方は「貸倒償却」としてもよい)。 ②(借) 貸倒引当損 15,000 (貸) 貸倒引当金 15,000 そして翌期になって実際に貸倒れが生じたとき、前期末に設定した貸倒引当金を取崩して処理する。たとえばB商店に対する売掛金8,400円が回収不能になったとすれば、次のように仕訳する。 ③(借) 貸倒引当金 8,400円 (貸) 売掛金 8,400 ここで次のような補足説明をする。貸倒れが生じたときに貸倒引当金を取崩して処理するのは、前期末に存在していた(つまり貸倒引当金設定の基礎となった)売上債権に限られる。したがって当期に発生した売掛金が当期中に回収不能になった場合は、貸倒引当金の取崩しによって処理することはできないので、上記①のように処理しなければならない。 また貸倒引当金残高を超える貸倒れが生じた場合も、貸倒引当金だけでは処理しきれない。たとえば上記②、③のあと、さらに前期から継続された売掛金9,000円が回収不能になったとすれば、次のように処理しなければならない。 ④(借) 貸倒引当金 6,600 貸倒損失 2,400 (貸) 売掛金 9,000円 このように貸倒引当金が設定されている場合であっても、貸倒れが生じたらすべて貸倒引当金を取崩して処理するわけではない。当期に発生した売上債権が当期中に回収不能になったのであれば、その損失は当期の負担とすべきだからである。また上記④の場合も前期末の貸倒見積りが過小だったのであるから、超過分は当期の損失としなければならない。 ---------- と書かれています。 何故に貸倒引当金は、前期末までに存在していた売上債券だけが対応出来る対象扱いなのでしょうか? 今期に新しく発生した貸倒分も、前期末までに対しての足りなくなった分の額も、新しく追加で設定すればいいだけだと思うのですが。